第493回

9月13日「任天堂は」

・任天堂の新作と戦略の発表会「ニンテンドー3DS カンファレンス2011」。

・多くのビッグタイトルが完成間近の状態で展示された。実際に触り、そして任天堂や各ライセンシーの方々と話した感想を一言でまとめると「わかりやすさ」だ。

・立体視をはじめとする新しい機能でゲームを「すごいもの」にするのではなく「わかりやすいもの」にする、そういう意図が具体的な作品群ではっきり打ち出されていた。特に『スーパーマリオ3Dランド』の立体空間、立体アクションの心地よさは、3DSの本当の価値を知らしめるものになるだろう。

・ニコニコ生放送『ゲームのじかん』特番で、多くのクリエーターに生の話を聞いているので、タイムシフト可能な方はどうぞ。

9月14日「SCEは」

・SCEのプレスカンファランス=戦略発表会。もちろんメインの話題はヴィータ。SCEJプレジデントの河野弘氏が責任者として自分の言葉ではっきりと方針を語っていて、好感が持てた。

・ドコモとの提携スタイルや各種コミュニティーサービスなどのことが報道されているが、つまりネットの機能も活用して生活に入り込んでくる、そういうツールになっていくということだ。

・ここで、ニコニコの参入が大きな意味を持つのである。本来のゲームをプレイする楽しさ(ゲーミング)と、ネットでわいわい交流する楽しさ(クラウドメッセージング)。これが繋がっていくことが今後のトレンドだ……なんてごたくを並べる必要はない。実はもうすでに思いっきり繋がっている場所がある。ニコニコ動画、ニコニコ生放送である。ここに僕は今、最大の可能性を感じてるので、喋るより実践していく。

・またここはソーシャルの土俵と重なる。携帯ベースでカジュアル系が台頭してくる中、ゲーム機としてその波をどう捉えるかの答をヴィータによってきちんと打ち出そうとしているという姿勢が河野氏からコメントされた。ただしコナミの小島プロデューサーとの会話の中で、カジュアルゲームの源流としての、コアなゲームの重要性が強調された。なかなかいい感じだ。

9月15日「TGSは」

・TGS(東京ゲームショウ)。ヴィータのSCEブースの横でグリーが巨大ブースを出している光景が、とても象徴的。ビジネスデーの今日、グリーはビジネスマン向けのステージイベントが盛況だった。

・360は今回もキネクト押し。そしてディズニーランド、マイケルジャクソン、スターウォーズ……と、徹底的に一般層狙いだ。ゲームというよりアトラクションのマーケットを狙っているのかもしれない。

・映像では『ゲームのじかん』第58回「ニコニコチャンネルGTV」特番でもリポートしているので、チェックしてみて。

9月16日「緊急メッセージ」

虐待されている君へ。
君はとことんひとりぼっちだ。
一番身近な人がもし敵だったら、世界の全ては君の敵になること。
誰も君を助けてはくれないこと。
僕はそれを知っている。
僕だって、君を助けることはできない。
けれど、大事なことを教えたい。
そんな時でも、たった一人だけ、君を助けられる人がいる。
その人を見つけ出すことができたら、君は助かる。勝つことができる。
その人の存在に気付き、なんとかして、連絡をとることだ。きっとできる。
……「手紙」という方法を試みた少年の話を、君のために、書いた。

・星海社の文芸サイト 『最前線』で展開されている「カレンダー小説」……記念日にまつわる小説を書き、その当日にアップするという企画……に、参加しました。僕が担当したのは「敬老の日」。9月19日から1週間限定で公開されます。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。