第494回

9月30日「ファウストが出た日」

・文芸誌『ファウスト』の新刊(Vol.8)、出た。3年振り。濃密かつ膨大。これ1冊を隅から隅まで読むことで文芸とポップカルチャーの現在を体に染み込ませることができるだろう。

・僕も2本、書かせてもらっている。「戴の大冒険 Making of VOFAN」。 ……『化物語』で知られているイラストレーターVOFAN@戴源亨(だいえんはん)氏の伝記。最初はインタビューないし対談形式でという依頼だったが、彼とは話せば話すほど「なんという俺」と思ってしまったもので、そのカンジを、青春小説として仕上げることにした。所属や国籍ではなく「世代」で共有できる思い出がある。

・『Hな人人』シリーズ最新作「ひきこもり、宇宙になる」。 ……おなじみ黒いページ。今回は、ビルドゥングスロマン(本当)。ショート・ショートでは不可能なテーマだったので、ある程度の枚数を頂いて書き込んだ。ひきこもりの可能性を徹底的に追究していくと、そのポテンシャルは宇宙サイズに至り、物語はついにスペース・オデッセイになった(本当)。

10月4日「ネット→本→ネット→本→」

・ツイッター連載『死ぬのがこわくなくなる話』は、書き続けることによって現実を喚起しそれがさらに書き続けるべき真実を喚起するというサイクルが始まった。現在「入会金1億円のSNS」代表と称する人物の公開インタビューを行っている。@kozysanと@memeJekyllをフォローして下さい。

・それから渡辺浩弐の新刊小説『iKILL2.0』(星海社)10月13日発売。殺し屋・小田切明が登場するiKILL(ィキル)シリーズの最新作。ニワンゴで配信しているものを体験した人には、特にこれは「買って」「手にして」もらいたい。

・小説として未踏の場所を開墾することを目指したものだが、星海社ならではの野心的な才能陣とのコラボレーションで、「本」としての作りも、前例のないものになった。イラストもデザインもレイアウトも、必然的かつ、斬新だ。

・前作『iKILL』はウェッブ版も公開してるので、お試し読み、どうぞ↓

渡辺浩弐『iKILL』 Illustration/ざいん | 最前線document.write(‘‘);

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。