俺の夜
今年も寝正月で気づけば、三が日が過ぎていったスパムです。年末に家で紅白歌合戦を見ていると、スーパー銭湯アイドルの純烈が登場。コロナ禍でお客と直接握手ができない代わりに、マジックハンド握手というパフォーマンスを披露していた。
ようやくライブやイベントでも規制が緩和されてきてはいるが、アイドルの現場はどう変化しているのか。そんな令和ならではの“アイドルの推し方”を知るべく、池袋にあるアイドル育成カフェなる店に行ってみた。
アイドルたちが連日連夜「推し」を競い合う!
今回訪れたのは、JR池袋駅から徒歩5分ほどにあるアイドル育成型ライブ&カフェバー「PROJECT BOX」だ。昨年10月にオープンした同店は、アイドルを目指す女のコたちが、日々ステージでパフォーマンスを披露しているという。
早速、入ると、「PROJECT BOXへ、ようこそ!」と、アイドルの卵たちがお出迎え。入店すると、カウンター席とテーブル席が分かれているフロアの一角に本格的なステージが併設。さらに、ライブ配信用ブースまである。 こちらには4種類の料金コースが用意され、今回は初回向けにドリンクとチェキがセットになった「推し探しコース」を選択した。令和アイドルの推し活はステージ以外も多種多様
最初に給仕してくれたのは、アイドル1か月目の、れいなちゃん&のえるちゃんのコンビだ。
のえる「芸能事務所のアイドルオーディションの書類審査に受かったけど、親に猛反対されて。そんなときにここを見つけたんです。今は夢のアイドルになれて全部が楽しいですね!」
れいな「普段は社会人だけど、私でもアイドルになれるラストチャンスだと思ってきたんですよ」
そんな彼女たちは、「推しポイント」を稼ぎながら、ユニット曲などの特典を賭けて、毎月ランキングで競い合っている。
お客さんが推す方法は、SNSのいいね数、ライブ配信の獲得ポイント、動画再生数、グッズの売り上げ、お店での個人売り上げ、定期公演での集客など。お客がさまざまな推し方を選べるのだ。れいな「私はお店にいられる時間が限られているから、SNSや配信で少しずつファンの人がついてくれるのが嬉しいですね」
ライブ配信ブースも完備。“裏側”を覗ける楽しみも
自分の働き方や、得意なジャンルに合わせて活動できるのが、令和アイドルの特徴なのかも。そんな世間話で盛り上がっていると、ライブ前の生配信もスタート。スマホで配信を見ながら、配信専用ブースが覗けるのは、アイドルの裏側を垣間見てるようである。
すると、店内が暗くなりライブが始まった。3曲で15分ほどのライブでは、豪華なライトの中でオリジナル曲を披露。
目の前のステージで、粗削りだけど懸命な姿を見ていると、応援したくなるのは中年の性か。周りの客層も30~50代がメインで、人気フードメニューがハイボールと馬刺しの組み合わせなのも納得だ。ちなみに、アイドルといえば、オーディションに受かってレッスンを経てようやくデビューを摑むイメージだが、この育成型カフェに下積みはない。お店という現場でメンバーそれぞれが試行錯誤して実践形式で学ぶので、彼女たちもモチベーションが高まるそうだ。
サイリウムを振り続ければ寒波も忘れるほどヒートアップ!
まゆ「私は以前、声優アイドルの研究生だったんですが、コロナでデビューがなくなっちゃって。でもここに入ってから家族もライブに来てくれて、おばあちゃんなんか私のTikTokダンスをマネしてくれるんですよ(笑)」
以前は地下アイドルのオタクをやっていたという、ともちゃんも「歌とダンスが未経験でも、ステージに立てるし、頑張ればPVに出たり、ユニットデビューのチャンスもあるからやりがいがあります」と、意気込みを話す。
「ステージで歌って踊る以外にも接客や生配信、フードを作ったり、自分のグッズをデザインしたり、やれることはなんでもやります!」そんな彼女たちの熱に当てられ、ライブ中はサイリウムを振り続ければ寒波も忘れるほどに体はヒートアップ。最高の“推しごとはじめ”になったスパムでした。
【PROJECT BOX】
住:東京都豊島区池袋1-23-1 第一ソシアルビル1F
電:03-5904-8035
営:18~23時(土日12時オープン)
休:不定期
料:推し探しコース2000円/60分(ドリンク+チェキorアミューズメント)
システムの詳細はHPをチェック
撮影/渡辺秀之
まもなく年の瀬。今年は仲間内だけで開催する忘年会の幹事を任されたスパムです。まだまだ羽を伸ばして飲み歩ける状況ではないが、少しだけハメを外せる一夜を過ごしたい。どこかにいいお店はないか……。
と思っていたところ、なんと本格的なレーシングシミュレーターで遊びながら、レースクイーンと乾杯ができるお店があるというではないか。早速下調べに行ってみた!
サーキットで活躍するレースクイーンが接客!
訪れたのは地下鉄・六本木駅から徒歩1分ほどにあるモータースポーツバー「GANTRY ROPPONGI」だ。赤と黒を基調とした店内は高級カーをイメージさせる。そこに「いらっしゃいませ」と、綺麗なレースクイーンたちがお出迎え! お店の奥には、巨大モニターを3台並べたレーシングシミュレーターが置かれている。ちなみにお値段は一台なんと400万円(!)という豪華さだ。 YUNA「オーナーがスーパーカー好きで自分でも走るから、ゲームじゃなくて本物志向なんですよ」AYAKA「車種やコースが自由にカスタムできるし、イスやペダルなどは本物のマシンと同じパーツなんです。実際のサーキットに近い環境で走行できるので、プロドライバーさんがレース前に練習に来るぐらいなんですよ」
美女の声援を受けながらコースを駆ける爽快感
長年マリオカートで鍛えた腕を披露すべく、レーシング用グローブをはめてマシンに乗り込むスパム。しかし、車種が多すぎてどれがいいのかすらわからない……。するとスタッフさんが「初心者向けの車種は『HONDAのS-2000』で、走りやすいのは『モテギ』かなぁ」「だよね。あそこは“ストップ&ゴー”だから走りやすいよね」などと流れるように走りやすいセッティングを進めてくれる。最初は素直にお任せしよう。
エンジン音がかかり、いざスタート。3画面モニターに映る迫力満点な映像と、動きに合わせて振動するシート、さらにゴゴゴという駆動音……なんだコレ、超楽しいんですけど!! ストレートでは一気にアクセルを踏み込んで時速300kmに加速! 直後の急カーブでは一気にハンドルを切って華麗なコーナリングを披露……と思いきや、派手にスピンしました。
シミュレーターの操作方法も優しく教えてくれる!
また、運転中もレースクイーンさんがサポートしてくれる。「コーナー前にブレーキで80kmまで落としてからハンドルを切ってください!」と的確な指示を送られ、コーナリングを決めると、「今の最高です!」と一斉に拍手。悪戦苦闘しながら10分間走った後には全身がじんわりと汗ばんでいた。そんなスパムに続き、「休みの日でもお店に来て乗るんです」と話すRIKOさんが運転すると……なんとみごとなハンドルさばき。腕の違いを目の当たりにしました。
RIKO「運転する男性を観察してると『激しい人』『優しい人』に分かれるんですよ。それが女性の扱いにも繋がる気がしますね」
YUNA「スパムさんは『我慢できずにブレーキを離して勝手に“いっちゃう”タイプ』かな(笑)」
運転だけじゃなく、トークスキルも彼女たちに完敗です。同店には2台のマシンを備えたフロアもあり、「対戦」も楽しめるという。
AYAKA「12月に入って、会社の親睦会や忘年会で、利用されるグループも増えてきてます。お酒を飲んでも合法的な飲酒運転なので、思いっきり弾けてください」
当然のごとく忘年会の予約を入れて帰るスパムでした。
【GANTRY ROPPONGI】
住:東京都港区六本木3-11-2-3F・4F
営:平日14時~翌5時(土日12時オープン)
休:月曜
電:03-6869-1709
料:チャージ2000円/60分(レーシングシミュレーターの利用は7000円/30分)特別プランはお店まで要確認。Twitterは@GantryRoppongi
撮影/菊竹 規
ようやく緊急事態宣言が解除されて、友人と数か月ぶりに酒を酌み交わしたスパムです。新型コロナの影響で筋トレに目覚めたという彼は、会社を辞めてパーソナルジムを開業。新しい居場所を見つけた友人の背中を見送り、夜の銀座を久しぶりに歩く。
すると、宣言下で見かけなかったドレスや着物を纏った女性たちが同伴の待ち合わせをしている。緊急事態宣言中は休業していたお店も多く、働く場所を失っていた夜職の女性も増えていた。
彼女たちはどう過ごしていたのだろうか。宣言が明けて、仕事復帰したという銀座のママに会いにいってみた!
久しぶりの銀座での営業はアドレナリンが出てきます今回、訪れたのは銀座の見番通りにあるビルに店を構えるクラブ「梟(ふくろう)」だ。白を基調にした店内はボックス席に加えて、バーカウンターもあり高級感が漂う雰囲気。そこに「いらっしゃい」と美しい着物姿で迎えてくれたのは、めぐみママ。こちらは今年4月にリニューアルオープンしたが、6月には休業に。約4か月ぶりの再開だ。
めぐみ「だからもう、解除初日は久しぶりにお客様と会って、アドレナリンが出っぱなし。その翌朝は久しぶりの二日酔いで『戻ってきた~』っていう感じで(笑)」
休業中はキッチンカーでまぜそばを売る日々
乾杯しながら、笑顔で話すママ。だが、休業中は働く場所を失い、別の仕事にも挑戦。キッチンカーを借りて、一人でまぜそば屋をオープンして生計を立てていたとか。
めぐみ「借りたキッチンカーがマニュアルだったので、自動車教習所にも通い直しましたよ。汗だくになって働いても収入は4分の1くらいにしかならなくて、大変でしたね。ただ、オフィスビルの前で営業していたら某企業の部長さんから“寸志”って書かれた袋を渡されて、見ると中には3万円も……驚いたけどうれしかったです」 職を替えても、客の心を摑む接客術はピカイチだった様子。また、生活面もかなり変化が起きたとか。めぐみ「夜は外出せずに20時ぐらいから一人晩酌を始めて、酔うのも早いから22時すぎには就寝。それまで、毎日夜中の3時にベッドで気絶していた。結果的にかなり健康的な生活を送っていたので、寿命は延びた気がしますね」
人と人とが支え合ってるのが、銀座の面白さ
人間味の溢れるママの元に通ってくる常連が多いのも納得だ。
めぐみ「こういう状況で人付き合いが減って寂しいのか、みんな返信が早い(笑)。なかには、コロナに感染して入院してた方もいて、『生きていてよかった。また行くよ』って連絡くれて。こうやって人と人とが支え合ってるのが、ほかの街にはない銀座の面白さかな」
ようやく緊急事態宣言も明けて、ママとしてもリスタートする。
めぐみ「夜職はもうやめるか悩んだ時期もあったけど、再開できて自分のいるべき場所はここだなと。まだまだお客様は少ないし、寂しさはあるけど、年末には飲食業界に活気が戻ってきて、コロナ前の銀座の風景になってほしいです」 どんなに状況が変化しても、銀座には変わらない魅力がある。ママの新たな決意を聞いて、応援したくなったスパムでした。【CLUB 梟 FUKUROU】
住:中央区銀座8-7-22 第23ポールスタービル3FC室
電:03-6280-6550
営:20~24時
休:土・日曜
料:セット料金1万5000円/90分、サービス料30%、TAX10%(初回ボトル代は別途)
撮影/菊竹 規