フロリダ銃乱射だけではない…過去にもあった「イスラム国」による同性愛者への理不尽な人権侵害
「アメリカ史上最悪」とされる銃乱射テロ事件が起こった。現場は同性愛者が集まることで有名なナイトクラブで、50人が死亡、53人が負傷。過去にも過激派組織「イスラム国(IS)」による同性愛者への人権侵害はたびたび報じられていた。
米国フロリダ州オーランドの同事件では、オマル・マティーン容疑者(29)が現地時間12日午前2時ごろ、拳銃や軍事用のライフルなど複数の銃器を持ってナイトクラブに押し入り、銃を乱射。その後、警察との銃撃戦で射殺されている。
事件後には、イスラム国系の通信社が「同性愛者が集うナイトクラブへの武装襲撃は、『イスラム国』の兵士によるものだ」と主張する犯行声明を出した。容疑者の父親は地元メディアに対して、マティーン容疑者は「同性愛について批判的な考え方を持っていた」と話しているという。
さらに、カリフォルニア州サンタモニカでは12日、所有する自動車内に多数の武器や弾薬、爆弾の材料を所持していたジェームズ・ハウエル容疑者(20)が逮捕された。警察の取り調べに対し、男は同州ロサンゼルスで同日に行われたゲイプライドパレードを襲撃するつもりだったと供述。同日未明にはフロリダ銃乱射事件が起きたばかりで、警察当局は両事件の関連性を調査しているようだ。
カリフォルニア州での襲撃未遂は「イスラム国」によるものと確定してはいないものの、近年では「イスラム国」の同性愛者への理不尽な人権侵害が多発している。なぜ「イスラム国」は、同性愛者を迫害の対象として狙うのか?
近年のイスラム圏では、同性愛などいわゆるLGBTに対する人権侵害がたびたび問題になっている。とりわけイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」は、同性愛者の男性をビルの屋上から突き落とす残忍な画像をネットで公開するなど、国際社会に波紋が広がっている。
伝統的イスラーム法「シャリーア」では、同性愛が死刑とされている。例えば、イスラム共和国のイランでは、同性愛は犯罪であり、刑罰として死刑が用意されている。また、イラクでは家族や同じ民族が自らの名誉や信仰のために同性愛者を殺害する事件があり、同性愛者を殺害しても刑罰は科されないという。
フランスのAFP通信や英国ガーディアン紙などの報道によると、2014年から2015年にかけても「イスラム国」による同性愛者への理不尽な人権侵害が世界各地で起こっている。以下には、その報道の一部を時系列で紹介する。
【2014年11月25日】シリア東部で「イスラム国」が、同性愛者だとして男性2人を投石により殺害したと、非政府組織「シリア人権監視団」が発表。同監視団によると、男性のうち1人は20歳前後で、イスラム国は、男性の携帯電話に保存された動画に、男性が他の複数の男性と「淫らな行為」をする場面が写されていたと主張しているという。もう1人の男性は18歳で、同様に投石によって殺害された。イスラム国が「同性愛」を理由に住民を殺害したのは初めてとみられる。
【2014年12月9日】イラクとシリアで活動する「イスラム国」が、同性愛者とされる男性を建物の屋上から落とした上で、投石により殺害する場面を写したとみられる写真をインターネット上で公開。イスラム国は、写真に添えられた声明で「同性愛行為におよんだ男について、街の最も高い場所から投げ落とし、さらに投石によって死刑に処すべきと決定した」と述べた。同性愛者とされる男性1人が、イスラム国の戦闘員2人に建物から投げ落とされている写真もあった。
【2015年1月15日】「イスラム国」の支部を名乗る組織が、イラク北部の都市・モスルとみられる場所で、目隠しをした男性をビルの屋上から突き落とす画像をテキストと画像の共有サイト「JustPaste.it」に公開。画像には同性愛を意味する罪状が書かれていた。目隠しをされ両手を背後に縛られた男性が、ビルの屋上から今にも突き落とされようとする画像や、大勢の人がビルの下の広場に集まっている画像、人がビルの上から落ちていく衝撃的な画像などが投稿された。
「イスラム国」による同性愛者への理不尽な人権侵害
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