53歳の元風俗嬢「本当にお金がないから焦ってるの」。熟年セックスワーク志願者が増えすぎた理由
風俗嬢や売春婦、AV女優など、カラダを“換金”して生きる女性たちは、全国で35万~40万人と推計されるが、実にその半分以上が30歳を超えた「熟女」だという。
ブームの端緒は2000年代前半に遡る。AVや風俗で、まず「人妻」の人気に火が点いた。かつての“ハダカ業界”では、25歳以下を「若い女のコ」、26歳以上を「熟女」とする線引きが存在したが、ブームによってそれまでは需要が少なかった「熟女」の活躍の場が広がった結果、カラダを売る女性の年齢制限は事実上撤廃された。
熟年売春 ~アラフォー女子の貧困の現実~』(ミリオン出版)を上梓したばかりのノンフィクション作家・中村淳彦氏だ。
「AV業界はこの10年ほど不況で、女優のギャラは下がり続けています。コンテンツがデジタル化されたことで簡単にコピーがつくれ、ネットにアクセスすれば無修正のAVがタダで見られるのだから、当然売上げは落ちますよね。一方、風俗業界も、業界入りを希望する女性が増えたのと、店舗型風俗が規制されたことで’00年半ば以降、市場は縮小の一途を辿っている。就業希望者が増えても雇用が増えるわけではないので、競争に敗れた風俗嬢は弾き出されてしまう」
新著のなかで中村氏は、彼女たちの姿を乾いた視点で淡々と描く。
「セックスワークを『女性からの搾取』と批判する声があるのは知っていますが、貧困に陥ったり、社会から外れてしまったりした女性のセーフティネットとして、長い間、機能していたのは事実です。批判しているのは学歴の高い富裕層の女性たちでしょう。風俗や売春は今に始まったことではなく、ずっと昔から裸やセックスによって男性のお金が貧しい女性に再分配されており、実際に上手く回っていました。ところが、格差が拡大して多くの女性が経済的に困窮し、セックスワークの志願者が増えすぎた。その結果、風俗や売春からもこぼれ落ちる熟女が近年増えており、今回、そんな熟年女性たちの日常や現実を書きたいと思ったんです」
同著には、貧困に喘ぐ熟年売春婦(AV女優・風俗嬢)へのインタビューが多数収録され、意外にも女性読者に人気の高い『名前のない女たち』シリーズの続編的な内容になっている。
「もう本当にお金がないから焦っているの。昨日、伝言ダイヤルにメッセージを入れたのよ。でも、全然、誰からも連絡ないんだけど」という53歳の元風俗嬢(現在、無職)
月給10万円のパート仕事を解雇され、所持金が底を尽き「10円玉があったから、公衆電話から電話したんです」と、62歳にして業界デビューを果たした「超熟」AV女優……など、餓死の危険さえ感じさせる赤貧ぶりは想像を絶する。
ほとんど光の当たらない、日本の抱える「貧困のリアル」を炙り出す渾身のルポルタージュと言えよう。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
AV業界では「美熟女単体」女優が何人も誕生する一方、55歳以上の「超熟」というマニアックなカテゴリも生まれるなど、ジャンルは細分化。街場では「人妻・熟女専門」の風俗店が賑わいを見せた。
「それは、過去の話。熟女AVで単体女優として大きく稼げるのは、上位数%の選ばれた人たち。現在では、生活費をAVで稼げるのは全体の2割程度で、大多数の熟女は2万~3万円のギャラを手にするためにAVに出演している」
こう明かすのは、AV女優の赤裸々な姿に迫ったベストセラー『名前のない女たち』シリーズで知られ、2月25日に新著『
『熟年売春 ~アラフォー女子の貧困の現実~』 日本の熟女たちが直面する、「売春格差」の過酷な実態とは |
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