台東区・墨田区・江東区エリアが「オシャレタウン」に変貌した理由
「ブルーボトルコーヒー」が清澄白河に日本1号店を出したとき、なぜ?と思った人もいただろう。しかし今や、東京の東半分、台東区・墨田区・江東区エリアが「ハイセンス」な街へと変貌しているのだ。街と人、ライフスタイルの変化を探ってみた。
ポートランド――。オレゴン州にあるこの小さな町は数年前より、日本の流行に敏感な若者たちから注目を集めている。
サードウェーブコーヒー(※1)、クラフトビール、ハンドメイドバイシクル……。オシャレで「丁寧に暮らす」を信条とする若者を魅了するキーワードに満ちているからだ。
そして今、その流れが東京の下町エリアを変えている。
キーワードは「リノベーション」「DIY」「クラフト」(※2)などだ。
「これまでは恵比寿や中目黒に店を構えていたような人が、東東京に出店する例が増えています。東東京には天井高のある倉庫や古民家等の空き物件も多く、家賃も安め。センスのある人が手直しすればオシャレな建物になるんです」(Webサイト「東東京マガジン」編集長・今村ひろゆき氏)
さらに集まる人種も一変した。
「浅草では若い靴職人のお店や飲食店が増えて音楽フェスも開催され、蔵前のゲストハウス(※3)も人気です。 『台東デザイナーズビレッジ』(※4)のある御徒町はデザイン性や質も高いアトリエ兼ショップの店が目立ち、時代を先行く店も出てきました」
<イースト・トーキョー用語辞典>
※1 サードウェーブコーヒー……豆の素材や作業工程にこだわり、ハンドドリップで1杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーのこと。ブルーボトルコーヒーが清澄白河に出店したのを機に広まる。ここから、“お金や時間ではなく、質にこだわる意識の高い人たち”としてサードウェーブ系男子なる言葉も登場
※2 リノベーション・DIY・クラフト……東東京の盛り上がりのきっかけを語る上で欠かせない言葉。土地に根付いていた産業が衰退し、増えた空き物件をお金をかけずにDIYで住居・店・アトリエとして再利用し、人を集めた
※3 ゲストハウス……1泊単位で宿泊できるバックパッカー向けの安宿。下町のゲストハウスにもインバウンドは増えたらしいが、出会いやコミュニケーションを求めて日本人も多く宿泊するそう
※4 台東デザイナーズビレッジ……通称・デザビレ。ファッション関連ビジネス分野で起業を目指すデザイナーの支援施設として、’04年に小学校の校舎を活用し設立
“ハンドメイド”感が下町を身の丈に合ったオシャレタウンに変えた
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