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建設中の「東京外環道」は本当に必要なのか? 地下水脈に悪影響、大気汚染が1か所に集中する可能性も

公共事業予算が増え、全国各地で費用対効果の怪しい事業が進行している。そんな「アベノミクス」のもとで進む、環境破壊をリポートした! 安倍さん、それって必要ですか?

首都圏の地下水脈に悪影響、大気汚染が1か所に集中!?

 東京外環道は、中央環状線や圏央道とならび首都圏を環状に結ぶ3つの高速道路「三環状」の一つだ。完成時の総延長は85kmで、都内を結ぶ約16kmの区間が’12年9月に着工。東京五輪・パラリンピックが開催される’20年の完成を目指して工事が急がれている。総工費は約1兆3000億円だ。 外環道計画 外環道が計画決定されたのは’66年。着工まで50年近くを要したのは、沿線で住民による猛烈な反対運動が起きたためだ。当初、外環道は地上に高架を設ける方式で計画された。しかし周辺の環境破壊や住環境の悪化などが予想され、10万筆以上の反対署名が集まるなどして’70年に計画が一度凍結。’07年に正式にトンネル方式へ計画変更された。  この計画に懸念を示しているのが、外環道の建設に反対する「外環ネット」の大塚康高氏。 「建設予定地は首都圏でも地下水が豊富な地域。トンネルができれば地下水脈を東西に分断する『遮水壁』となり、地盤沈下や井戸枯れが起きることも考えられます」  国交省は、地下水の多い場所でトンネルの真下を横切るようにパイプを埋め込み、流れを迂回させる「地下水流動保全工法」を採用するという。 「その工法を用いても、パイプが土砂で埋まってうまく地下水が流れなくなる可能性があります。環状八号線の井荻トンネルでも同じ工法が導入されましたが、トンネルで遮られた地下水脈の下流では最大十数センチの地盤沈下や井戸枯れが生じました」(大塚氏)  事業者はこれまで住民に対して「トンネル工事による地上への影響は生じない」と説明してきた。ところが’14年4月以降、トンネル工事沿線周辺の約2万戸を対象に「家屋調査」を開始。 「調査員が一軒ずつ訪ね、家屋の傾きや壁のひび割れ等を調べています。影響が生じないなら、なぜその必要があるのでしょうか」(同)  地下水だけではない。排気がもたらす大気汚染の心配もある。
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5本しかない排気塔に汚染物質が集中!?
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