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なぜ「貧困世帯の子供たち」は荒れるのか?

 そんななかで、我々大人が取るべき解決策として、藤本氏は「一人ひとりの社会的認識を改めるべき」と指摘する。 「NHKの番組を受けて、出演した“貧困女子高生”がスマホを持っていると騒がれ、バッシングが起きましたが、今や高校生にとってスマホは友達との関係を繋ぐ生活必需品。どんな家庭の子供でも所持していてもなんらおかしくはありません。これは食うや食わずの生活をしている『絶対的貧困』の問題と、その日の生活に困るほどではないが、進学や生活環境面で金銭的な不利益を被る『相対的貧困』の違いが混同されたまま理解されていることの現れです。今、なんとかすべきなのは後者だという認識を持つべきです」  また、大西氏は子供を守る場としての「コミュニティづくり」の大切さを強調する。 「大事なのは居場所がない子供を孤立させないこと。そのためにはコミュニティづくりと、それに加えて大人は地域の子供たちに関心を持つことが大事。休日は近くの公園で地元の子供と遊んだり、彼らに何か異変はないか気をつけたりしてほしいです。地元の面倒くさいおじさんを自任する気持ちが大事ですね」  出口の見えない子供の貧困問題。大人が一人ひとりできることを実行するのが解決の糸口だ。 【藤本典裕氏】 東洋大学文学部教育学科教授。’59年、大阪府生まれ。専門は教育学、教育行政学。主な著書に『学校から見える子どもの貧困』『教育行政学』(ともに共編著)などがある 【大西 連氏】 ’87年、東京都生まれ。認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長。生活困窮者への相談支援活動に携わりながら、現場からの声を発信、政策提言している 取材・文/カネコシュウヘイ 亀田治五郎 鈴木ユーリ 高島昌俊 永田明輝 ―密着ルポ 貧困の子供たち ―
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