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北朝鮮の「幸せ家族」は嘘だった! 当局のヤラセを隠し撮りしたドキュメンタリー映画『太陽の下で 真実の北朝鮮』の衝撃

 例えば、一家で食卓を囲むシーンでは、夫が「キムチは朝鮮固有の民族料理だ」と力説するシーンがある。ここで演技指導者は何度も何度も執拗にリハーサルを行わせ、ジンミに「そんなに緊張しないで。普段どおりにするんだぞ」とダメ出しまでするのだ。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1257640  そもそも、住居のアパートも撮影用に用意されたもので生活感は皆無。マンスキー監督は、「家具はまだ新品で、棚の中は空っぽ。浴室も使った形跡がないことにすぐ気づいた」と述べた。しかも、夫はジャーナリストだったがいつの間にか縫製工場の技師に、妻も飲食店勤務だったが豆乳工場勤務に設定が変えられていた。しまいにはジンミの友人がケガをして最新設備の病院で治療を受けるという話まで捏造し始めた。そこに監督の意思が介在する余地はまったくない。もうムチャクチャである。  いうまでもなく、ある程度北朝鮮の事情を知っている者からすれば、平壌はそもそも特権階級が住む地区であり、外国人の目を意識して周到に整備されおり、公開処刑や収容所に代表される恐怖政治は隠ぺいされている。この事実は当然差し引いて観なければならない。しかしながら、その恐怖政治の片鱗のごときものであっても、映像に収めることができた成果は評価されるべきだろう。
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もう一つ重要な示唆も
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テロリスト・ワールド

テロリストの例を評論・映画・小説・マンガを網羅しながら考察し、一律に解釈できない多様な正義を読み解く

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