「反の経済下」ではトランプ大統領誕生は必然だった
2016年11月8日(火)のアメリカ大統領選挙でトランプ大統領が誕生し、すぐに、2つの異なった「反応」が各国から出ました。一つは、「大衆迎合では超大国を導けない」というものであり、トランプ氏の主張である「反グローバリズム、反自由貿易主義、孤立主義、帝国主義等々」は本来の資本主義を否定したものであるという論調です。一方、欧州のポピュリスト政治家は、仲間であるトランプ氏の当選を受け喜びを表現しました。とくに、英国のEUからの離脱(ブレクジット)推進派の急先鋒だったイギリスの政治家ナイジェル・ファラージは、「2016年の二つの偉大な政治革命」と称賛しています。それでは、なぜこのような二つの真逆の「反応」が出てくるのか考えてみましょう。
その前に「補助線」として、今回のアメリカ大統領選挙に対する見方の2つ誤謬について指摘します。一つは、トランプ氏の「逆転勝利」という誤謬です。選挙期間を通じて、クリントン氏が優位に選挙を戦い、終盤になって、トランプ氏が突然盛り返しゴール間際で逆転したという「多くのマスコミ」の論調は間違っており、選挙期間を通じて、トランプ氏が優位であったというのが著者の意見です。アメリカのマスコミでは唯一「ロサンゼルスタイムス」が選挙期間当初から、トランプ有利の世論調査を示していました。これは何を意味しているのかというとアメリカの国民は健全であり「トランプ氏の主張」が正しいことを見抜いていた証拠です。
次の誤謬は、トランプ氏が保守(共和党)でクリントン氏がリベラル(民主党)であるという対立構図の誤謬です。実は、トランプ氏は、著者の提案している「正と反の経済学」(詳しくは『資本主義の限界』扶桑社2016年8月刊参照)を「内知(深層心理)」で理解しています。そして、今が「反の経済」であることを「感覚」でわかっていたのです。一方、クリントン氏は「偏差値秀才」であり、今が「従来からの経済(正の経済)」と信じて疑っておられません。
すなわち、今回の選挙の対立構図は、「保守VSリベラル」ではなく、「正の経済法則VS反の経済法則」なのです。とくに2つ目の誤謬を理解していただくために拙著『資本主義の限界』の図(資料)を本稿に添付しておきましょう。
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『資本主義の限界』 日本経済が延々と低迷を続ける理由は「たった1本の経済線」で解き明かせる! ![]() |
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