ブラフマン「40代のバンドマン」として今、思うこと
――では新曲のことについて、まず「不倶戴天」がめちゃくちゃ格好いい。久しぶりに聴きながら「うぉぉっ!」って声が出ました。
RONZI:俺も歌が入った瞬間、自分で「うぉっ! かっけぇ!」って思った。
――これだけ怒りが爆発してる曲も久しぶりですね。
TOSHI-LOW:いいでしょ、全編。これ、ギター弾いてたらパッとできちゃって。怒りがテーマとは考えてなかったけど、でも作っていくとこの曲で〈ありがとう、家族〉みたいな歌詞はねぇなって思うじゃん。
――そんなの歌ったことないでしょ。
TOSHI-LOW:ないけどさ(笑)。まぁこうなるよね。「うぉぉぉぉ!」って感じの、モーターヘッドを直訳したような歌詞にしたいなと思って。もっとFワードとかバンバン入れてもいいと思ってたぐらい。ただね、これ……息するところがないんだよね(笑)。こないだ歌ってみたけど苦しいんだよ。ライヴで泡吹くんじゃねぇかなと思って。……こうやるかもしんない(←左手で耳を澄ますポーズ。右手で客席にマイクを向けるポーズ)。
一同:はははははははははは!
TOSHI-LOW:最後の最後だけ〈許すってことだぁ~〉って(笑)。
――この曲はギターソロが珍しいですね。ほとんどアドリブのような。
KOHKI:これは適当に弾いたやつ。一番簡単ですね。
TOSHI-LOW:今、KOHKIが弾くアドリブがすっごい格好よくて。ほら、内田勘太郎さんとかとブルースのインプロ・セッションしてるじゃない? もちろん決まりを作ったソロもいくらでも弾けるけど、その場でポーンと出てくるものに「おっ?」って思うことが最近多いから。その感じを出したくて。
KOHKI:そのほうが曲に合ってますよね。きっちり構築するよりは、勢いで行ったほうがいい曲。
TOSHI-LOW:だからライヴも毎回毎回違うのが聴ける。面白いんじゃない?
――KOHKIくん、最近ブルースにハマってるんですか。
KOHKI:いや、ハマってるというか前からずっと好きだったんですよ。なんか知らないけど今は自分で弾く機会が増えただけで。「あ、こういうの好きなんだ?」ってよく言われるから、今まで知られてなかったんでしょうね。
――ギター弾きは、よく「ギタリストにとってブルースは欠かせないものだ」と言いますよね。
KOHKI:まぁ基本ですもんね。ロックンロールも、みんなあのブルースのフレーズ弾いてるし。だから避けて通れないというか。
TOSHI-LOW:でも実際に通ってるか通ってないかで全然違うよね。ああいうセッションに出るようになってから、KOHKIの変化、俺はすごく感じる。得るものデカいんだろうなって思うし。経験値としてその人のギターから鳴り出すもの。いわゆる「プルースが鳴る」ってこういうことなのね、って思う。
MAKOTO:うん、シンプルだけどいいフレーズを弾く、っていうのは最近すごく感じる。
KOHKI:ブルースってスリーコードで、コード進行も全部同じじゃないですか。でも誰かが言ってたけど、たとえば「スーツでお洒落して来い」って言われたら、いろんなスーツあるし、ネクタイも選ぶ、場によってはジーパンで行くのもアリだし。靴もそう。そのスタイルの中でいかにお洒落するか、なんですよ。型は決まってるけど無限だし、いろんなバリエーションが試されるっていうか。だから、最近はシンプルがいいなと思うし、そのシンプルの中でいかに格好よくやるかって考えますね。
――あと「不倶戴天」が興味深いのは、ただ怒るだけじゃなくて〈笑い 終える 望み 日々を渉る〉っていう歌詞が出てくるところ。これはやっぱり必要な言葉だったんでしょうか。
TOSHI-LOW:こんだけ年取ってればさ、自分の吐いた唾は必ず自分に回ってくるってこともわかるから。そういう意味でも、単純に「お前のことぶっ殺す」っていう怒りの歌じゃないんだよね。「社会が悪いんだ!」で終わってたら、何の奥行きも成長もない人間に育ってるってことだから。怒りはさ、あくまでも着火剤であって、燃料じゃないってこともわかってるから。
――怒りは、燃料じゃない?
TOSHI-LOW:もちろん火は点くじゃん? 何か言われたら「この野郎、見返してやる」って。だからと言って、ずっと怒り続けてたら自分の心が焦げちゃうというか、燃えるものもなくなってしまう。あくまでも怒りは最初の着火剤であって、それをどうしていくかが問題で。だから歌詞もそういうふうになるのが必然だと思う。人に向けたつもりが、書けば書いていくほど最終的に自分に向かってくるし。それは毎回そうなんだけど。
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