更新日:2017年04月19日 14:30
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ブラフマン「40代のバンドマン」として今、思うこと

「40代のバンドマン」として今、思うこと

――新曲には〈走り終えた向こうに〉という歌詞があったのも印象的でした。20周年を区切りに、何かを終えた感覚はあるのでしょうか。 TOSHI-LOW:あぁ……20周年がどうっていうより、40代だからね? 人生としては終わるための準備に入る段階だから。一番働き盛りだけど、もうちょっと経ったら老人っていう手前。ちゃんと終えるために走らなきゃいけない、とは思ってる。起承転結の「結」の手前ぐらいには来てるわけだから。 ――ブラフマンの「転」って何だったと思います? 物語が始まって、続いていき、流れが変わるタイミング。 RONZI:……わかんない。なんかあった? TOSHI-LOW:ひっくり返るって意味では毎回ひっくり返ってるし、具体的に「いつ」とか「何がきっかけで」ってことはないと思うけど。ただ、バンドが生活に近くなった感じはするよね。毎日起きて顔洗う、みたいな感じで音を出してる。もちろん「ブラフマンをやるために!」っていう感覚は各個人あると思うけど、最近はそれがすごく生活と近い。昔は音楽に触れる/触れないの切り替えもすごくあったの。たぶんね、自分たちのできることばっかりやってたら今の感覚はなかったと思う。 ――できることだけじゃなく、苦手なこともあえてやってきた。 TOSHI-LOW:アコースティックとか特にそう。Overground Acoustic Underground(BRAHMANのメンバー全員が参加しているアコースティックバンド)も最初は全然できなくて「これはもう無理だな…」っていう感じだった(笑)。こんなソフトに歌えないし、俺なんてギターも弾けないし。そんなところから始まったけど、でもみんな今、すごく上手くなってる。 MAKOTO:楽器弾くこと自体が苦手でしょうがないのに、練習して、ちょっとずつ勉強になっていく。それは単純に嬉しいことで。 ――案外、苦手なことほどやってみたらためになりますよね。 TOSHI-LOW:俺、ブルースに関しては完全にそう。ブルースってつまんないと思ってたし、自分はああいうふうに歌えないと思ってた。でも仲井戸麗市にも「歌え」って言われて……やりだしたら超面白かった。ブルースってたぶん、聴くっていうより演る方が面白いと思う。やってみるとわかることもたくさんあって。最初は嫌だったけどね。「俺がブルース歌うのぉ?」みたいな。 KOHKI:おっさん臭いイメージ、ありますもんね。でも、もう自分らおっさんですもんね。 TOSHI-LOW:追いついたね、ブルースにやっと(笑)。 KOHKI:おっさんになってからやればいいと思ってたら、おっさんになってた(笑)。でも10代の頃って、20年もやってたら練習なんかしなくなるし、ライブで間違えたりもしなくなるだろうと思ってましたよね? MAKOTO:そうだね(笑)。練習しないとできないのに。 KOHKI: アレと似てますよね。40も過ぎたらオナニーなんかしなくなると思ってたけど、普通にするっていう(一同爆笑)。 ――音楽以外はどうですか。たとえば震災後、TOSHI-LOWくんはそれまで一切やらなかったMCを真剣にやるようになりました。 TOSHI-LOW:うん。言わなきゃいけないと思ったし、言うなら中途半端にじゃなくて、何年間かびっちり言い続けようと思ってた。自信があったわけじゃないし、成功するとも思ってなかったし、まとまらないままのこともあったけど。でもそこも嘘つかないで喋るしかないんだよね。何か狙って面白いことやろうと思っても、そうはならないから。 ――結果的に今は「MCが面白い人」というポジションまで手に入り。 TOSHI-LOW:そんなことのために始めたわけじゃないのにね(笑)。この前、友達の友達みたいな人に「会社でスピーチするんですけど、何言ったらいいですかね」って相談されて。そんなの自分で考えなよ、っていうか、わかんねぇよお前の会社のことなんかと(笑)。 ――あとは、20周年の時は初めてサイン会をやったり、明らかに苦手そうなことにもトライしてきました。 RONZI:あれやってみると、何万回とサイン会やってる人の凄さがよくわかるよね。「よくやってられんなぁ!」みたいな(笑)。俺も最初は笑顔で神対応しようと思ってんだけど、もうどんどん……心がやさぐれてくる(笑)。 KOHKI:知り合いが遊びに来てくれて「態度悪いっすね!」って(笑)。 RONZI:最初っからビール飲んでたもんね。でもさ、面倒くせぇって思ったけど、それを毎回やってる人もいるわけじゃない。それはそれで、やっぱひとつの努力だなって思うし、ちょっと尊敬するようになった。 TOSHI-LOW:いい経験にはなったよね。何でも一回はやってみないと。まぁでも……サイン会はもういいかな(笑)。 <取材・文/石井恵梨子 インタビュー内容の一部はオフィシャルより抜粋>
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