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「北朝鮮は日本のことが好きなんじゃないか…」永田町の怪僧・池口恵観を直撃

 池口恵観という高野山真言宗の大阿闍梨、大僧正をご存知だろうか。13年に朝鮮総連本部ビルを30数億円で落札しようとした人物、といえばピンとくる人もいるかもしれない。また、氏は1000度近くの炎の前に座り、100万枚の護摩行を3度も行った、唯一人の人物である。  安倍総理をはじめ、歴代の首相が訪ねてくることから“永田町の怪僧”とも呼ばれる池口氏。政治家のみならず、スポーツ選手、芸能人、ヤクザの親分までを惹きつけ、ロシアのプーチン大統領など、各国の重鎮が訪ねてくることでも有名だ。最新の世界情勢から身近な問題まで、あらゆることに即答するという氏が、この度、新刊『なぜ今、池口恵観なのか』を上梓したという。それに伴い、貴重な話を聞く機会を得ることができた。 ――今回、本を作ろうと思ったきっかけはなんですか? 池口:私自身に対する世間の認識を正しいものにしたかった、それと、最近は行をする人が減ってきました。そこで行者として何か教えられることがないかと考えたのがきっかけです。 ――いきなりですが、最近、アメリカ大統領がトランプさんになりましたね。そのことについてはいかがお思いですか? 池口:トランプ大統領は大統領選挙がスタートした当初は一種のうたかた候補と見られていましたが、次第に『アメリカ第一』というトランプ候補の主張が保守的な人たちに受け入れられるようになり、大方の予想を覆して大統領の椅子に座りました。  アメリカはグローバル資本主義を推進して世界経済を支配したかに見えましたが、アメリカ社会の内情は格差が拡大し、国内の主要産業は疲弊の一途を辿ってきました。米国社会の底流に渦巻いていたそうした不満を、トランプ候補の経済面での『アメリカ第一』主義への回帰、安保・防衛面での「世界の警察官」としての負担軽減といった主張が、非常にタイミングよく取り込んだのです。  トランプ大統領は就任後、公約通りに実践しているものもあれば、若干軌道修正を迫られていることもあり、試行錯誤を繰り返しているような感じがします。  しかし、安倍首相との日米首脳会談や習近平主席との米中首脳会談では、親密な首脳関係を築くことに重点を置く柔軟な面を見せており、何が何でも「アメリカ・ファースト」を押し通すということでもなさそうです。各国の首脳と実際に会い、人と人との関係を大事にする大統領だという感じを受けています。  私はもともとトランプさんが大統領になるのではと感じていました、オーラが違いましたからね。光がとても強かった。そういうところには光がまず寄ってくる。そうするとみんな自然とわかってくるんです。  ただ、トランプ大統領はシリア問題や北朝鮮問題で強硬姿勢を見せており、心配な面はあります。トランプ大統領、プーチン大統領の双方と親密な関係を築いている安倍首相に「なんとかうまく米ロ協調の橋渡しを」と思っています。 ――北朝鮮という言葉が出ましたが、北朝鮮のこのところの動向を見て感じられることはありますか? 池口:北朝鮮には、受け入れることも学んで欲しいですね。北朝鮮には何度か渡航しておりますが、彼らは意外と日本のことが好きなんじゃないかという印象を受けました。  私は日本の仏教者の一人として日朝友好の促進に少しでもお役に立ち、拉致問題の解決や国交回復に力になりたいと考えたからです。そして、戦没者、戦争犠牲者の御霊の供養を行う柴燈護摩を厳修したいと思っていますが、まだ実現には至っていません。  最初、平壌を訪問した時、北朝鮮に仏教寺院がたくさん残っていることを知り驚きました。北朝鮮は社会主義国であり、まさか密教の形が北朝鮮に残っているとは夢にも思っていなかったのです。  5回の訪朝の中で様々な施設を訪問しましたが、私が特に興味深く感じたのは、北朝鮮の子供たちの目が輝いていたことです。戦前や戦後の貧しい時代の日本の子供たちも、生活は貧しかったけれども目が輝いていたと、よく言われます。国の将来に大きな希望を持ち、国と国民が一生懸命努力する姿において、一時期に日本と北朝鮮の姿は似ていると思います。  独裁的な国家の近代化の現状を批判することより、日本と歴史的な縁の深い一つの国家として、日本は拉致問題等々の解決を図りながら、北朝鮮人民の幸せのために尽力する方向で努力すべきではないかと思います。
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若者は宗教をどう捉えるべきか
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なぜ今、池口恵観なのか

歴代の首相や政治家、スポーツ選手、芸能人からヤクザの親分まで多彩な人々を惹きつける異色の僧侶の独白!!!

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