街中の自宅アパートで凍死…「異状死体」の解剖で見えてくる貧困ニッポンの姿
日本では現在、年間約17万体の死体について、「発見の届け出」が警察に提出されている。
これはつまり、病院などで家族に看取られて亡くなった“死因の判明している遺体”ではなく、死因不明の「異状死体」の数だ。そのうち殺された可能性がある、もしくはその可能性が疑われるものや、死因を解明すべきだと判断された死体は、全国の大学で組織される法医学教室で解剖されている。
そして、解剖の結果、殺人ではなかったものの「格差社会化」や「高齢化社会」など日本が抱える問題を如実に感じさせる死因が判明することもある。
ある年の2月、自宅アパートで男性がうつぶせのまま倒れて亡くなっていた。室内には争った形跡もなく、病院の通院歴も確認できない。解剖した結果、彼は「凍死」していたことがわかった。警察によれば、男性は数年前にリストラされ、妻とも離婚。発見時にはライフラインすべてが止められており、部屋の中には食べ物も所持金もほとんど残されていなかった。家賃滞納に困った大家が警察に通報し、遺体の発見に至ったのである。
CASE1 アルコール 『ケトン体急上昇で体が酸性化! アルコール依存が死を招く』
ある50代男性は生活保護費のほとんどを酒に当てていた。そんななか、風邪でも引いたのか、唯一の栄養源である酒が飲めなくなったことで、酸性物質である「ケトン体」が上昇しすぎて亡くなった。ケトン体とは、不足した栄養の代わりに脂肪を燃焼してエネルギーに変換する物質のこと。ケトン体が異常に増えて体内が酸性化した結果、内臓が機能しなくなったという。CASE2 凍死 『街中の自宅アパートで……。山中でもないのになぜ!?』

CASE3 リストラ 『集合住宅の床下で生活し、寝たまま白骨化した男性』
50代と思しきその男性は、ある集合住宅の床下にある狭いコンクリートの空間で生活していた。身の回りのものは綺麗に整理され、わずかながら食べ物の破片もあったという。しかし、発見時にはすでにほぼ白骨化されており、突き止められたのは性別と推定年齢のみ。死因はわからなかった。その後、解剖結果をもとに行った警察の捜査によって、彼が数年前にリストラされ、家を失っていたようだと判明した。 ※現在発売中の『週刊SPA!』5/9発売号では「貧困ニッポンを襲う[死体格差社会]」という特集を掲載中。死の現場から浮き彫りになる日本が抱える問題とは? イラスト/河岸キョウタロウ
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