2.5次元ミュージカルの元祖が語るブームの理由
――今では若手俳優の登竜門的な位置づけにもなってきていますね。
片岡:2.5次元ミュージカルの基本は、あくまで原作に忠実であること。ですから、役者に求められるのは“キャラに見えること”であって“技量”ではないんです。その意味で、技術のある著名な俳優より知られていない俳優のほうが余計な情報が無い分、キャラに忠実に思えるし、役者には自分をキャラに寄せていく演技が要求される。一言で言えば、“匿名性”が求められることになる。結果、無名の俳優が多く出演することになるので、初日から完璧な演技とはいかない部分もありますが、公演中に彼らは飛躍的に成長します。その成長をリピートしながら追っていくのも、醍醐味の一つですね。
――今後、さらに期待することはありますか?
片岡:原作ファンが感情移入できる作品を作っていくことです。テニミュの時に心掛けていたのは、「原作を超えるものはできない。けれど、原作に恥じないものを作ろう」ということ。原作を超えようと余計な味付けをして、作品自体を壊すような真似だけは絶対にしてはいけない。そして、きちんとヒットしていて時代性のある作品を舞台化する。これを守っていれば、日本の漫画・アニメが世界でトップである以上、2.5次元ミュージカルもまた、世界で通用するコンテンツになることは間違いありません。
【片岡義朗氏】
株式会社コントラ代表。アニメ&ミュージカルプロデューサー。『タッチ』『ハイスクール!奇面組』『キテレツ大百科』『蟲師』などのTVアニメや『聖闘士星矢』『セーラームーン』『テニスの王子様』などのミュージカルをプロデュース。2.5次元ミュージカルの先駆者的存在
<取材・文/宮下浩純>
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