更新日:2022年08月28日 09:36
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中国に「習近平記念都市」が爆誕する! プロジェクトの裏に隠された意図、そして日本への影響は?

日本の科学者が雄安に押し寄せる!?

雄安

現在の雄安はご覧の通りの田舎町。これがニューヨークのようになるのか!?

 一方、このプロジェクトで日本企業が恩恵を受ける可能性もある。経済評論家の宋文洲氏は言う。 「一面、麦畑という状態から、最先端都市を築きあげる上で、建築や交通インフラ、環境などの面において日本の技術が絶対に必要になる。また、日本の得意分野である重機や自動車の需要も新たに生まれるでしょう。雄安新区で掲げられている7つの重点項目のうち、『環境配慮のスマートシティ』『優美な生態環境』『質の高い公共サービスの提供』『高度交通網の発展』はいずれも日本の得意分野。プロジェクトは『全方位的な対外開放』を掲げられているので、日本企業にとっての大チャンス」  宋氏は他にも「隣国の首都機能移転で、日本では頓挫している同様の議論に再び火がつく可能性がある」と述べるが、いずれにせよプロジェクトをきっかけにした企業の経済交流により、冷えきった日中関係も少しはマシになるかもしれない!?  ただ、逆に日本にとって安全保障上のリスクとなる可能性も浮上している。立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏は指摘する。 「ハイテク企業を誘致すると同時に、いくつかの大学も移転させると報道されており、科学研究都市という側面も持つことになる。そうなると、外国人研究員の獲得に力を入れるはず。今の日本の研究者たちには、自由な研究を阻害するしがらみや給与・研究費の安さに嘆く者も多いが、彼らが軒並み引っこ抜かれる可能性もある。国家戦略的な研究都市では当然、軍事も大きな研究分野になる。日本の大学では軍事研究がタブーとされており、自由な研究を求めてアメリカやシンガポールへ渡る科学者が多いが、仮に彼らが雄安新区に渡り、その成果が中国の軍事開発に利用されれば、日本にとっては国防上の脅威となるでしょう」  一見、縁遠い隣国の首都引っ越しだが、経済面・安全保障面で日本にも大きく関係してくるのだ!

雄安新区は風水から見ても完璧!?

⇒【写真】はコチラ(計画模型)https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1333602
遷都

計画では官公庁のほか、80以上の国営企業の本社が移転するとも報じられている

 詳細が未定の部分が多い雄安新区だが、実は同プロジェクトには「風水」が多大な影響を与えているという。東京に住む台湾人風水師はこう解説する。 「北京と天津、雄安の3点を結ぶときれいな正三角形になるでしょ。風水の考え方では、正三角形は国を治めるために大切な『天地人(天の時、地の利、人の和)』を表している。まさに国の中心としてふさわしい場所になるでしょう。また中国には、近くに住む者に繁栄をもたらすといわれる『龍脈』という大地の気の通り道が24本あるとされていますが、雄安の西に横たわる太行山脈はまさにそのひとつなのです」  21世紀になっても、中国ではビル建設や都市開発で、風水に基づいた計画策定がなされることが多いから、不思議な話ではないかもしれない。前出の富坂氏の著書『風水師が食い尽くす中国共産党』でも、中央政府の政策決定に風水師が関与する実態が描かれているが、果たして今回もそうなのか。 取材・文/奥窪優木 牧野 源 写真/DGプレス
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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