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25歳・年収1100万円の“転売屋”が語る苦労話「労働時間はチェーンの居酒屋よりブラック」

転売のためにウンコを漏らしたことも

酒井氏が最近転売用に買い集めたプレイステーションVR。年間に5000万円ほどの売上があり、転売した差額である1100万円が彼の年収だ

 上述したように、転売は時間との戦いだ。朝から一歩もその場から動けなくなることは珍しくない。 「朝は先着販売の店舗に並んでいることが多いです。商品が1個しか入荷しない店舗に1番乗りしたときは毎回冷や汗をかきますね。だって、一度列を離れたらアウトなわけですから。ほかに人がいれば『ちょっとコンビニ行ってくるんで、見といてください』とか頼めますけど、自分しか並びがいない状況だとそうもいかない」  さらに、酒井氏から転売屋特有の仰天エピソードが飛び出した。 「午前9時開店の店に始発で並んだとき、開店まであと2時間ってところで猛烈に腹が痛くなって。だけどここで列を離れたら買えない。なんとかお腹を我慢してたんですが、あと30分ってところで限界に達して、漏らしてしまいました。後ろに並んでる子供が『あのおじさんウンコ漏らしたー!』って大きい声で叫ぶんですよ。もう最悪です」  酒井氏はその後、ウンコを漏らしたまま30分並んで商品を購入したという……。ウンコを漏らしても手に入れたいモノがあるのは、それだけで彼が生計を立てているからに他ならない。  しかし店舗での辛いことはそれだけではないようだ。 「1人1個までって書いてある商品を何個も買うと、店側にマークされるんですよ。なので毎回レジに違う店員が来たタイミングで買ってるんですが、それでもやりすぎるとバレる。  家電屋(ヨドバシ)でプレミア商品を1日27個買ったら売り場のリーダーらしき店員に『お客さん、いい加減にしてください。次買ったら出入り禁止にしますよ』って言われたんですが、無視してフロアを変えて買っていたら、スーツを着た社員が3人くらい出てきて、ダッシュで追いかけてきました。捕まったらグループ全店出入り禁止になるかもしれないと思ってこっちも全速力で逃げたんですけど、それ以来監視カメラの顔写真がレジ裏に貼られたみたいで、店員を変えても買えなくなりました。こういう追跡はザラにある。最近は作業着に着替えたうえで、作業靴で身長もごまかしてから買ってますね」  生活のためとはいえ、そこまでする執念のが転売屋。彼の言葉を聞いて、脱サラして転売屋になろうと思った人は思いとどまったのではないだろうか。 <取材・文/牧野俊>
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