更新日:2022年11月25日 23:24
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ダイエット目的のサウナや水風呂は効果がない?医師に聞く正しい入浴法

――高齢者だと、他にどのようなリスクが考えられますか? 阿保:不整脈のリスクが急激に上がる60代以上は、急激な温度環境の変化に晒された結果、「致死的不整脈」のリスクがあります。致死的不整脈というのは、心臓のリズムが突然空回りして、いわゆる心停止が起きたのと同じ状態になることで、突然死の恐れがあります。  あるいは、いわゆる「水抜き」目的でサウナに行くのもやめたほうがいい。サウナに入るなら水分補給はこまめにしてください。血が固まって「血栓」ができる恐れがあります。
阿保医師

3万人を超える下肢静脈瘤などの血管系疾患の患者を治療してきた、北青山Dクリニックの阿保義久院長

――あまり聞き慣れませんが、「血栓」とはどのようなものでしょうか? 阿保:血栓の形成には、「血管」、「血液の成分」、「血流」の3つの要因があります。たとえば、サウナに長時間入って脱水状態になると、血液中の水分がなくなって固まりやすくなる。いわゆるドロドロ血液と言われる状態です。これが血栓の原因になります。  また、よく長時間の飛行機のフライトがエコノミークラス症候群を引き起こすといいますが、あれは座った姿勢のままでいることで血流が滞り、足の静脈に血液が溜まって、血栓ができるのが原因です。  これと、同じことがサウナで起こることがあります。さすがに5~6分間の滞在で起こることは少ないと思いますが、脱水状態のまま20分近くサウナに入ったりすると、足の血管にできた血栓が肺に飛んで、呼吸困難や動悸が生じるリスクがあります。 ――そうならないために、オススメのサウナ浴の仕方は? 阿保:サウナに長時間入るのではなく、短時間に留めておく。あるいは、すぐに水風呂に入らず、お湯で流したり、少しずつ温度を下げたりして、徐々に体を慣らしていったほうがいいですね。これで血栓症やヒートショックの発症リスクを軽減できます。 【阿保義久】 北青山Dクリニック院長。東京大学医学部卒業。2000年に北青山Dクリニックを設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を行うほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、尊厳を守るがん治療としての遺伝子治療、生活の質を高めるためのアンチエイジング療法まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。著書に『下肢静脈瘤が消えていく食事』(マキノ出版)などがある。公式サイト「北青山Dクリニック」 <TEXT/井野祐真(本誌)>
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