自己破産、投資サギ、クビ…破滅した3人の社長から学んだこと
翌月になって、私は10万円もらえるものだとばかり思って楽しみにしていました。でも「香木がカンボジアから輸入できてないからまだ商売がはじまってない」と言われてもらえませんでした。
その次の月も、さらに翌月になっても……結局、香木の事業は永遠に始まりませんでした。
後でわかったのですが、Aさんは実際にはなにも商売をしていなくて、嘘の出資話をしてはお金を集めて生活している人だったのです。
私がお金を取り返そうとしていると、わたしより多額のお金を出している人が次から次へとでてきました。返しきれないお金を出資という名目で詐欺するだけ詐欺したあげく、人工透析患者だったAさんは肝臓ガンが悪化してあっけなく死んでしまいました。
次のボスBさんは仕事ができる人でした。でも、仕事ができてしょうがないから、まわりの人が無能に見えて仕方ない人でした。
いつも会社の従業員の悪口を言っていては彼らを呼び出し、自分の自慢話とダメ出しを繰り返していました。そして従業員を次々とクビにしていました。
Bさんの技術力ひとつで会社はどんどん大きくなっていったので従業員を切り捨てるなど本人にとってはたいした問題ではなかったのです。
アップスを訪れても「この従業員は仕事ができないからいても迷惑だからやめさせたほうがいい」とたびたび忠告されました。
私はだんだん感化されて、仕事ができない社員をうとましく思ったり、怒鳴ったり、やめてくれたらいいのにと心の中で願うようになっていきました。
私の力は相変わらず無能だったのに、人に対する文句で頭がいっぱいになり、性格がどんどん悪くなってきている頃、Bさんは悪口を言っていた役員に裏切られて株主総会で吊るし上げにあいました。
そして創業者だったにも関わらず、一部上場企業の社長をクビになり、会社を乗っ取られてしまいました。
次のボスCさんは、売上をあげることよりも「借金をどれだけできるかが大事」と言っていました。「借りた分が多ければ多いほど商売の規模が大きくなるから、儲けも大きくなるんだ」と言っていました。
そうして銀行やノンバンクの借り入れをどんどん増やしていきました。アップスは無借金経営だったので「それが店が大きくならない原因だ」とボスは言いました。
そしてその頃できた新銀行東京や当時、融資が楽におりた三井住友銀行を紹介してくれました。
私もその気になって借り入れをしようとしましたが、幸か不幸か借りた実績が何もないのであっさりと融資を断られてしまいました。こんなことではアップスが大きくならないと焦っていたときのことです。
Cさんは自転車操業が悪化に悪化を重ねた結果、中小企業を支援する「セーフティネット保証制度」で、なんと7000万円借りました。しかしその努力も虚しく、それすらも返せず、10億円の負債を抱えて会社破産と自己破産をしました。
私はボスを失うたび、自分の中での「社長像」がブレまくり大きな焦燥感にかられました。一体どのボスが正しくて、どのボスが間違っているのかがわからなくなりました。
そしてこれからはどういう人をボスにしたらいいのかもわからなくなりました。
次に出会ったボスは会社を追放された

最後に出会ったボスは自己破産
新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ。著書『劣等感を力に変える 成り上がる女の法則』が発売中
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