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セブン「100円生ビール販売中止」の背景をバー経営者に聞く。瓶ビールより不味い場合も…

 セブン-イレブンが、Sサイズの生ビールを税込み100円、Mサイズを税込み190円という価格で発売すると発表し注目を集めたものの、実施前に本部からの指示で中止となってしまったことは、ご存じだろう。

当初、100円生ビールは、東京都三鷹市や埼玉県所沢市などの店舗で予定されていた

 中止の理由はいろいろあると考えられるが、そのうちの一つに現場のオペレーション負荷が激増する、というのが考えられる。

生ビールサーバーの炭酸ガスは何のためにある?

 まずコーヒーとは違って、ビールを販売する際は年齢確認が必要になる。郊外ではクルマでコンビニに行くのが普通なので、ドライバーかどうかの確認も必要になるだろう。そして、美味しい生ビールを出すためには、ビールサーバーのメンテナンスも必要となる。

ビールが入っている樽と炭酸ガスの詰まったボンベ、注ぎ口以外にも各種チューブなど、意外にメンテナンスが大変な生ビールサーバー

 そもそも生ビールサーバーというのは、ビールが入っている樽と炭酸ガスの詰まったボンベ、注ぎ口のセットになっている。冷えたビールを出すために、注ぐときに瞬間冷却するタイプと、樽そのものを冷却するタイプなどがある。ちなみに、ボンベの炭酸ガスでビールに炭酸を入れているわけではなく、あくまでビールを押し出して注ぐためのもの。また、ビールが減ったときに樽に炭酸ガスを充満させておけば、酸化しないというメリットもある。  缶ビールであれば、ぷしゅっと開いてそのまま飲めるが、ビールサーバーだと、さまざまなパーツやチューブが介在することになる。これらは、まな板やグラスと同様、使い終わったら掃除する必要がある。これがビールサーバーのメンテナンスだ。

生ビールサーバーのメンテナンスは大変!

 ビールサーバーのメンテナンスは、水を受けるためのバケツをセットして、ビール樽からヘッドを外す。ヘッドを洗ったら、水を入れた洗浄ボトルにセットして、炭酸ガスの力で水を送り込む。冷却方式にもよるが、相当量のビールが出てくるが捨てるしかない。もったいないので筆者は、うまくグラスで受けてお疲れ様の1杯として飲んだこともある。途中で水に変わったらおしまいなので、流量を見るのがコツだ。いきなり勢いが強くなったら直後に水が出てくるので、グラスを外せばいい。  この水通しをしたら、注ぎ口や洗浄ボトルを洗う。注ぎ口のカランも外して、すべての穴にブラシを突っ込んで綺麗にする。最後に、樽の口金などを掃除したらヘッドを再セットして完了。炭酸ガスの元栓を締めて、翌日の営業に備える。  加えて、最低でも1週間に1度はスポンジ通しという作業を行う。水通しをした後に、専用のスポンジを入れて通すことでチューブの内側を洗うのだ。汚れていれば、何度でも繰り返す。慣れてしまえば、水通しは数分、スポンジ通しをしても10分くらいで終わるが、毎日の作業なのでなかなか負荷は大きい。
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掃除をサボるとどうなる?
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