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終身雇用は崩壊、年金も危うい…中高年サラリーマンの絶望

政財界から相次いで「終身雇用はもうムリ」宣言

 今、中年会社員をかつてない理不尽が襲っている。今年5月、業界最大手のトヨタ自動車の豊田章男会長は、「今の日本には雇用を続けている企業へのインセンティブがあまりない。終身雇用を守るのは難しい局面に入ってきた」と発言。さらに経団連会長で日立製作所の中西宏明氏も「(終身雇用は)制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」と語った。そのほか、経済同友会の桜田健吾代表幹事も「終身雇用はもたない」との発言を残すなど、経済界のトップたちの終身雇用への決別宣言が相次いでいる。 中高年サラリーマン そして、足並みを揃えるかのように5月15日に安倍政権が発表した「高年齢者雇用安定法」では、「希望する人は70歳まで働けるように雇用を確保することが企業義務」との方針を発表。加えて、来年には年金受給開始年齢の上限を現行の70歳から75歳へと引き上げるプランを検討中だ。  また、将来の首相候補と目されている小泉進次郎衆議院議員も、こうした論調を肯定。小泉氏が事務局長を務める人生100年時代戦略本部では「年齢にとらわれないエイジフリー社会をつくる」「『高齢者』という定義や名称も考え直していく」ことを提言した。近い将来、定年の概念すらなくなり、誰もが年金を当てにせず、60代以降も食い扶持を自力で稼ぎ続けることが強いられる社会が目前に迫っているのだ。

ワリを食い続ける日本の40代会社員たち

 国からは「年金が十分払えないから、65歳以降も働け」と詰められるが、その一方で企業からは「定年まで雇うのは無理」と冷たく拒絶される。従来の人生設計をガラガラと崩されたこの国の会社員たちに明るい未来などあるのか。  ベストセラー『定年前後の「やってはいけない」』などの著書を持つシニア人材紹介会社社長の郡山史郎氏は、次のように指摘する。 「現状の日本の問題は寿命が延びているにもかかわらず、労働基準法をはじめ、働き方の制度がまったくアップデートできていないことです。たとえば、80年前の昭和10年の平均寿命は43歳でしたが、そう遠くない将来には寿命が100歳に達するといわれています。  にもかかわらず、昭和10年当時から働き方や労働の法制度はあまり変わっていません。そのため、会社員の多くが60歳で定年を迎えるにもかかわらず、人材市場には30~50代前半までの働き口しかない。過酷な出世レースを勝ち抜き、50~60代以降も活躍し続けられるサラリーマンはごく一部の幸運な人だけです」  年金は当てにしていたほどもらえず、働きたくとも職はない。そんな絶望が広がるなかで、「最大の受難にさらされるのは、40代会社員である」と指摘するのは、人事戦略コンサルタントの松本利明氏。 「今の40代は社内では責任ある立場を強いられ、精神的にも体力的にもギリギリの状況まで追い込まれています。それにもかかわらず、終身雇用や年功序列の旧態依然の日本企業体質に支えられている50代以上のように、同じ会社で逃げ切ることもできない。  さりとて転職しようにも、そんな心の余裕も時間の余裕もない。『転職することが当たり前』の時代に生まれ、まだ働き方やライフスタイルの仕切り直しが利きやすい30代以下とも違い、今から仕事を変えるには遅すぎる年齢でもあります。日々の業務の負担だけは多いのに、実は一番、ワリを食っている、そんな世代なんです」
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いきなりハシゴを外される中高年たち
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表紙の人/ 川栄李奈

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