お金があっても、なくても老後の心配はするだけムダ!
モト:ところで、藤沢さんは2045年の日本ってどうなってると思いますか? ちょうどSPA!の読者が年金生活に入る頃合いの日本社会って、なかなか想像がつかないんですが……。
藤沢:みんな東京五輪後の景気を心配しているけど、日本は先進国の中ではすでに下位。今後、さらに下がるかもしれない。けど、日本というブランドは簡単には死なない。’45年でもアジアではまだそれなりのポジションにいるはず。悲観はしていません。
モト:その頃、僕はひょっとしたら海外に移住しているかもしれません。恐らく、自分の今のスタイルであれば世界中どこに行っても稼ぐことは可能なので。
藤沢:税制や住みやすさなどを考えると、選択肢は香港とシンガポールのほぼ2つ。ただ、どちらも年収5000万円くらいないとキツいからハードルは高い。でも、モトさんなら大丈夫か(笑)。
モト:僕、物欲が結構強くて出費が多いんです。収入が増えたこともありますが、高い腕時計やスーパーカーが欲しくなったり。特に時計に目がなくて、今日つけているのはパテックフィリップ。これまで時計には約3000万円ほど注いできました。
藤沢:自分も若い頃はちょっとは物欲があったけど、最近はないんだよね。高いモノを買うのってエネルギーが要るじゃない。高い時計は、つけているだけでリスクと感じてしまうから僕は怖いな。僕は、物欲によってMP(マジックポイント)が削られると思っていて、今はそれを全部ビジネスで使いたいわけ。
モト:私はMPをムダ遣いしていたのか(笑)。ただ、時計って値上がりすることがあって、今持っている時計を全部売却しても1000万円くらいプラスになります。
藤沢:なら、かなりよい投資になってますね。けど、結論から言えばお金があろうとなかろうと、老後の心配ってするだけムダだと僕は思っています。例外はあるにせよ、日本で餓死する人なんてまれじゃない。生活保護というセーフティネット(※3)もある。文句を言ったり、批判する人は多くても、日本の社会保障制度って世界に誇れる優秀なものですから。
モト:さすがに最初からそこを頼るのはどうかと思いますが、セーフティネットがあることは、認識してもいいですよね。
藤沢:モトさんのように稼げる人はそれでいいけど、人生というゲームで悲惨なのは、アリがキリギリスに負けちゃう現実なんです。アリのようにあくせく働いて貯金してきた人が、若いうちから遊びまくって不健康になって生活保護受けてって人より劣る暮らしを余儀なくされてしまう。この現象をどう捉えるか。行儀よくアリでいる必要はないと僕は思いますよ。
(※1)iDeCo
個人型確定拠出年金の愛称。毎月一定額を積み立て、選んだ金融商品を運用。掛け金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時に公的年金等控除か退職所得金控除が適用されるなど税制面でかなり優遇されている。ただし、原則60歳になるまで引き出すことはできない
(※2)ETF
上場投資信託。日経平均株価や東証株価指数などの各指標への連動を目指す投資信託で、金 融証券取引所で取引される
(※3)セーフティネット
弱者を救済する社会的な仕組み。日本の場合、生活保護の受給がセーフティネットとして機能しており、その金額は国民年金のみの場合より高水準となることから、批判・見直しの議論も高まっている
【藤沢数希】
理論物理学研究者、外資系金融機関を経て、現在は作家、投資家。有料メルマガ『週刊金融日記』は読者数1万人、ツイッターのフォロワーは16万人を超える。『損する結婚 儲かる離婚』(新潮社)など著書多数
【moto】
4度の転職を経て、年収250万円から1000万円に激増させたジョブホッパー。副業年収も4000万円超で、合わせた年収はなんと5000万円以上! 7月、自身初となる著書『
転職と副業のかけ算』(扶桑社)を発売
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