更新日:2019年11月29日 14:20
仕事

転職or独立だけじゃない。サラリーマンに勧める“第三の道”とは?

―[会社を買え!]―

老後2000万円問題の最終回答。後継者不足で“会社”は余っていた!

 これまで「会社を買う=M&A」といえば、会社同士の売買ばかりだった。しかし近年、個人が急速に存在感を高めている。いまや普通の会社員が数百万円単位で会社を買っているのだ。“社長になる”という選択肢に迫った! 会社を買え

「どう買えばいいんですか!?」サラリーマンたちが熱視線

 あなたがもし、今の会社で行き詰まりを感じたらどんな選択肢を考えるのか。転職or独立――これまではそのどちらかだったが、近年、第三の道として「会社を買って社長になる」という選択肢がある。つまり、個人による会社の買収(個人M&A)が増えているのだ。  その背景には、まず「後継者不足」という、現代日本の大問題がある。経済産業省によれば後継者未定の中小企業は約127万社も存在し、’25年には約6割の中小企業経営者が70歳を超えると予想されている。そんな「大廃業時代」を迎えるなかで登場したのが、ネットでのマッチングサービスだ。後継者不足の企業や小規模事業主が、なんと数百万円単位から気軽に法人(事業)を売買できる環境が整備され、M&A市場がどんどんオープンになってきている。  日本最大のM&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」を運営する高橋聡氏は、市場の盛り上がりを肌で感じているという。 「これまでM&Aというのは、個人が行うのは“ありえない”という風潮がありました。そもそも環境がなかったこともありますが、風向きが変わってきたのは、昨年発売された三戸政和さんの本『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』が話題になったのが大きい。それによって『サラリーマンでも会社を買えるんだ』という事実が広く知られたんです」  その流れもあり、トランビではこの1年で個人・法人を含めたユーザー数が約4倍に増加。売却募集案件もITから飲食、小売り、メーカーなど幅広く、常時1100~1200件も掲載されている。さらに個人M&Aのセミナー開催には希望者が多数参加し「どんな会社を買えばいいのか?」などと、前のめりな質問が飛び交うそうだ。  では実際に、どういった人たちが会社を買いたがっているのか。これまで、中小企業750社以上の廃業決断などを支援してきた事業承継デザイナーの奥村聡氏によれば、会社を買いたい人には2つの傾向があるという。 「一つは若い人で、不動産投資や個人事業主をしているパターン。もう一つは有名企業に長年勤め、リタイア後の生活を設計している40、50代のサラリーマンです。前者は会社を軌道に乗せて利益を得たり、さらに再び売却して『一発当てたい』というマインドの人が多いですね。一方、後者だと定年後にも安定した収入源を得るために『身の丈に合った事業をやりたい』と考える人が多い印象です」  奥村氏によれば、今から個人がM&Aをするには、大きく3つの窓口が存在する。マッチングサイトや行政が手掛ける地場産業向けの事業承継サービスに加え、“口コミ”での売買も多いとか。
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