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安倍新内閣を論評。小泉進次郎など無派閥の「お友達」を大量入閣/倉山満

主流派体制に変わりはないが、変化は如実に表れている

 安倍政権では、「首相官邸で石を投げれば、経産官僚に当たる」と言われる。その象徴が今井尚哉首相秘書官だ。その今井氏が首相補佐官に昇格した。これまで首相秘書官として7年に及ぶ政権を支えてきたが、今後も兼務するという。実力秘書官は並の大臣よりも実力者だが、今井氏の権勢はさらに強まるか。  彼ら官邸官僚を束ねる立場にあるのが、菅義偉官房長官だ。自民党では表向き無派閥だが、その影響下にある議員は多い。  政府の要は麻生太郎副総理・財務大臣、党を預かるのは二階俊博幹事長。首相の出身派閥は細田博之派だ。これまで通り、細田・麻生・二階の三派連合の主流派体制に変わりはないが、変化は如実に表れている。  下の表を見て欲しい。 ===== 第4次安倍第2次改造内閣<表>第4次安倍再改造内閣 (’19年9月11日認証式) ※自民党四役(幹事長、政調会長、総務会長、選挙対策委員長)も追加 【細田派 97人】 四役・主要閣僚/選挙対策委員長 下村博文 重要閣僚/経済財政担当大臣 西村康稔 伴食大臣/文部科学大臣 萩生田光一 長官級/五輪担当大臣 橋本聖子 【菅系 ?人】 四役・主要閣僚/官房長官 菅義偉 重要閣僚/経済産業大臣 菅原一秀 伴食大臣/法務大臣 河井克行 【無派閥 ?人】 重要閣僚/総務大臣 高市早苗・農林水産大臣江藤 拓 伴食大臣/環境大臣 小泉進次郎 【麻生派 55人】 四役・主要閣僚/財務大臣 麻生太郎・総務会長 鈴木俊一 伴食大臣/防衛大臣 河野太郎 長官級/復興担当大臣 田中和徳 【竹下派 53人】 四役・主要閣僚/外務大臣 茂木敏充 重要閣僚/厚生労働大臣 加藤勝信 【二階派 46人】 四役・主要閣僚/幹事長 二階俊博 長官級/国家公安委員長 武田良太・沖縄・北方担当大臣 衛藤晟一 【岸田派 46人】 四役・主要閣僚/政調会長 岸田文雄 長官級/科学技術担当大臣 竹本直一・地方創生担当大臣 北村誠吾 【石破派 19人】 【石原派 11人】 【公明党 57人】 重要閣僚/国土交通大臣 赤羽一嘉 =====  主流派の証は、自民党四役を占めることだ。三派連合に加え、岸田文雄派にも政調会長を宛がっている。  また主要閣僚は、ただ二人留任した菅・麻生両氏の他に、竹下亘派に外務大臣の椅子を分け与えている。  五大派閥の均衡には気を配っている格好だ。  連立与党の公明党には国土交通大臣の1ポスト。指定席と化している。  悲惨なのは石破茂派と石原伸晃派だ。これでは自民党内において、存在しないに等しい。  それでも石原派は、表には無いが、自民党で四役に次ぐ国会対策委員長を得ているだけマシだ。  石破派は完全に干されている。昨年の総裁選挙で安倍首相の対抗馬として出馬し、激しく争った報復だ。  党内で唯一、石破氏を応援したのが参議院竹下派だ。重みのある大臣2ポストが振る舞われているが、2人とも衆議院議員で首相に近い。派閥領袖の竹下氏が病気入院中なので、切り崩された格好だ。かつ、実力者として知られた吉田博美前参議院幹事長が引退し、組織の立て直し中なのが大きいと言えよう。  岸田派も、切望した幹事長は得られず、大臣も2ポストながら軽い。  石破、岸田氏は将来の総理総裁候補と目されてきたが、政治力の低下が如実に表れている。岸田派、石破派、それに石原派が弱小派閥と軽く扱われているのは、やむを得まい。  主流派の二階派も幹事長こそ占めたが、獲得した大臣2ポストは軽い。  麻生派は他派閥と比べ優遇されているようだ。消費増税を悠々と実現した、官庁の中の官庁としての復活ぶりが著しい財務省がバックについているからだが。
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麻生・二階の両氏と組んでいる限り無敵の安倍首相
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13歳からの「くにまもり」

あなたが総理大臣だったら何をしますか?

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