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安倍新内閣を論評。小泉進次郎など無派閥の「お友達」を大量入閣/倉山満

麻生・二階の両氏と組んでいる限り無敵の安倍首相

 今回の人事の肝は、テレビや新聞では「無派閥」としか報道されない人たちの実態だ。  組閣は派閥の領袖の推薦により、首相が決める。通常、無派閥議員の登用は「首相枠」とされてきた。かつて小泉純一郎首相は「無派閥」や民間人の登用で、自分の側近で閣内を固めたことがある。そうすると「派閥の意向にとらわれない人事」とマスコミが勝手に持ち上げてくれる、というボーナスまでついてくる。もっとも、それができたのは小泉首相に派閥の意向を無視する政治力があったからだが。  安倍首相も、麻生・二階の両氏と組んでいる限り無敵なのだから、今回は遠慮なく無派閥の「お友達」を大量に入閣させた。野党が参議院選挙を勝たせてくれたのも大きい。  サプライズ結婚で話題の小泉進次郎環境大臣も、この枠である。  さらに、菅官房長官に近い議員も、重要ポストで入閣している。  細田派、菅系、無派閥の三者を足すと、9大臣を占める。しかも、その内5ポストが主要・重要閣僚だ。  ここまで、永田町の常識を解説してきた。「安倍一強」は続いている。自民党内に目ぼしい敵がいないのだから、当たり前だろう。ライバルが石破茂や岸田文雄では話にならない。  こうした形勢の中で、菅義偉官房長官が勢力を伸ばしている。菅系を眺めて見ても、細田派、麻生派に次ぐ勢力であり、岸田・石破の弱小派閥はもちろん、竹下派や二階派をも凌駕する。  菅官房長官は、安倍首相の復権以来一貫して政権を支えてきたが、最近は「令和おじさん」として一般の知名度も上がっている。ポスト安倍の最有力なのだ。  内には消費増税、外には露中朝の脅威。安倍首相は頼りにならないが、菅後継首相は期待できるだろうか。  天下睥睨(へいげい)しよう。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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