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「車中泊難民」50代で家がない…年収100万円、介護離職の過酷

生活保護の申請も門前払い

「生活保護の申請もしたけど、『もう一度ハローワークへ行って、それでダメならまた来い』と門前払い。もう行かないね」  篠原さんのように、介護離職が漂流の引き金になるケースが増えていると藤田氏は指摘する。 「高齢者の介護保険は低所得者ほど利用料負担がのしかかり、自宅での介護が欠かせません。子どもが離職し収入がなくなれば、年金に依存した生活となり、親の死後は生活に困窮。廃墟化した実家からのSOSは後を絶ちません」
車中泊難民

3年前25万円で購入した愛車に家財道具と母親の遺骨を積み込んだ車上生活。この夏は2度、熱中症になりかけた

年間9万3000人が、介護・看護離職している

「介護離職ゼロ」を目標に掲げている安倍政権だが、実情は厳しい。平成29年に介護・看護のために離職した人は9万2900人で、10年間で2倍に増えている(厚生労働省「雇用動向調査」/平成29年)。男性3万5800人、女性5万7100人で、年齢では50代がもっとも多い(同)。    費用負担の少ない公営の特別養護老人ホームに入れるのは「要介護3」以上で、都市部では数年待ちもザラだ。民間の有料老人ホームは、月20万〜30万円台かかる施設がほとんど。  やむなく、親を自宅介護するために仕事を辞める人も多い。だが、50代で離職してしまうと、次の仕事を見つけるのは至難のわざだ。篠原さんのような「介護離職貧困」は、まったく他人事ではない。  振り返れば断崖絶壁という絶体絶命のサバイバル生活を、中高年の漂流者たちは今日も目隠しのまま歩み続けている。 【社会福祉士・藤田孝典氏】 NPO法人ほっとプラス代表理事、反貧困ネットワーク埼玉代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書に『下流老人』など多数 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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