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安酒が美味しく感じる? プロでも間違うブラインドテイスティングのすすめ

~ 第72回 ~  みなさんはふだん自分で飲みたいお酒をオーダーし、飲んでいることでしょう。当然、銘柄や価格を把握しているのですが、これが想像以上に味に影響します。好みのお酒だったり、高いお酒を飲むと美味しく感じますし、安いことがわかっていると安酒に感じる傾向があるのです。みなさんも覚えがあるのではないでしょうか。  そこでオススメなのがブラインドテイスティングです。ボトルや銘柄を隠して、お酒だけを飲み、味わう飲み方です。マンガに出てくる主人公のように、一口飲んだだけで、〇〇の〇年もの! なんて当てようというのではありません。

ブラインドテイスティングでは銘柄を隠した状態で、お酒を味わいます

ブラインドテイスティングの注意点は?

 銘柄がわからない状態でお酒を飲むと、もうその味と香りしかヒントがありません。何かを感じ取ろうとした場合、お酒だけに集中する必要があります。これは、とても楽しい勉強になります。  長年、お酒を飲んでいると好みが出てきます。しかし、本当にブラインドテイスティングで飲んで、わかるでしょうか? ブランドテイスティングというと、ワインが有名ですが、もちろんウイスキーでも日本酒でもOKです。  もちろん、誰かにお題を出してもらう必要があります。基本は、友人に代わりに頼んでもらうことになるでしょう。何度も通って顔見知りになったお店であれば、スタッフに頼めることがあるかもしれません。筆者も7~8人で馴染みのレストランに行ったときは、ワインを片っ端からブラインドで出してもらい、みんなであーでもないこーでもないと議論してから答え合わせをして盛り上がるということをしています。
ブラインドテイスティング

ワインの学校に通っていたときは、毎回ブラインドテイスティングの時間がありました

 ウイスキーも馴染みのバーでブラインドテイスティングすることもありますが、貸し切り状態でなければ、他のお客さまの迷惑になってしまうので注意が必要です。やはり、友人にお題を出してもらい、トイレに行っている間に注文してもらったり、注文からウイスキーが来るまではカウンターに顔を伏せて見ないようにするという流れでしょうか。原価BAR五反田店のように、客席以外でお酒をオーダーして持ってくるキャッシュオンデリバリー方式のお店だと、手間がかかりません。

味と香りでお酒を当てるのはプロでも難しい?

 ブラインドテイスティングするとびっくりすること請け合いです。当たらないのです。何百杯も飲んだお酒の銘柄を外してしまうのです。バーテンダーやソムリエはさすがに正解率が上がりますが、それでも100%と言うことはありません。ちょっと意地悪なお酒のチョイスをすると、大ハズレして恥ずかしい目に遭うこともしばしば。  安心してください。みんな最初はそんなものです。しかし、お酒を真摯に味わうようになると、正解率が上がり始めます。自分の中で、お酒の色や香り、味、強さなどが体系立てて記憶されるからです。  一般的に安い酒と思われていても、きちんと作っているお酒はとても美味しいことに気がつくでしょう。高級酒と言われて、今まで喜んで飲んでいたものが、ブラインドで飲むと他にいくらでも好みのお酒があることに気がつくかもしれません。  出題する側も、次はどんなお酒を出してやろうかと頭をひねるので面白いものです。お題を出すのであれば、やはりお酒の味を知っておきたくなるでしょう。  ブラインドテイスティングの経験を重ねると、普通に飲むときもしっかりと味わうようになります。そうすると、どんどん経験値が貯まっていきます。膨大な量を飲んでも、何も意識しなければ、何も残りません。せっかく、素晴らしいお酒を飲んでいるなら、経験として自分の血肉にしたいところです。  ブラインドテイスティングはその場もとても盛り上がりますし、お酒に興味を持ってもらういいきっかけにもなります。ただし、くれぐれもお店に迷惑をかけないようにしてください。「適当に何か出して」というのはとても困ります。料金でトラブルになることもあるでしょう。ブラインドテイスティングの相談は常連になってから。それまでは友人に出題してもらうようにしてください。
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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