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高級車で「あおり運転」する50代ヒラ社員、軽自動車と女性ドライバーが標的

 日本社会はどこに向かうのか――。経済危機が迫るなか、市民の「格差」はより拡大し、中流が新たに転落、下流はさらに困窮。一方、今まで放置されてきた人たちがさまざまな事件を起こし、令和時代の新たな「負け組」を生み出している。“中高年”の暴走運転がたびたびクローズアップされたあおり運転の加害者もその例に違わず、一気に犯罪者=負け組に転落するケースが続出している。

「あおり運転」で負け組に転落。暴走の裏には“寂しさ”があった

 東京都に住む会社員・林弘重さん(仮名・56歳)は、あおり運転をやめられないでいる。ここ5年間で4回の接触事故を起こし、昨春はスピード違反で8万円の罰金を支払ったが「道路を走るときは、ドライバー同士阿吽で呼吸を読み流れるように走るもの。俺は流れに乗って運転しているのに、わかってないヤツのせいで事故になる」と、持論を展開する。
[令和版]負け組の衝撃

大黒柱は妻。林さんは自由に使えるお金はあるため、高級車を奮発した。それが彼の暴走をより強める結果になるとは……

 林さんは高校卒業後、地元の工場に配達ドライバーとして就職、当時同僚だった現在の妻と結婚し、すぐに子宝に恵まれる。順風満帆の生活は、病で急変する……。 「30歳の秋、C型肝炎が見つかり闘病生活が始まりました。妻は『転職して私が生活を支える』と言ってくれましたが……」  入退院を繰り返すため仕事で結果を出せず40歳を超えてもヒラ社員のまま。一方、妻は転職先で昇進し、収入面でも夫婦に格差が生まれていった。 「会社は休みがちな俺に居場所を残してくれましたが、給与は上がらずじまい。今では後輩すら陰で俺をバカにしています……」  そう肩を落とす林さんの唯一の楽しみが、ドライブだったのだ。 「運転だけは自信があります。危険運転はしませんよ。ただ、左折でサッと曲がらない、高速でわざと遅く走る。そんな人をバカにしたような運転をするヤツには『殺すぞコノヤロウ!』と走り方を教えてやります」 [令和版]負け組の衝撃 愛車のセーフティアラートを鳴らしながら無自覚にあおり運転を繰り返す林さんだが、ヤンチャな風体の車には「前に怖い人に怒られて、土下座したことがある」らしく決してちょっかいを出さないという。 「入院先で出会った大部屋仲間はみんな亡くなりました。独立した2人の子供は家に寄りつかないし、妻は仕事で不在がち。飼っていた愛犬も死にました。ハンドルを握るときだけは生きているって実感できるんです」  深い悲しみと孤独感は同情に値するが、身勝手で危険なあおり運転は、許される行為ではない。
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あおり運転で暴走する理由
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