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「もうラスト1点なんです」は意外と嘘じゃない。アパレル店員の本音と建前

★「もうこれラスト1点なんですよ」

アパレル これも嘘と思いきや、たいがいが本当です。そもそも「ラスト1点ですよ」で嘘ついて売っても、お客さまがたまたま戻ってきたらどうするんですか(笑)。こんなので嘘ついたりしません。 「え? でも、私、実際に嘘つかれました!」 「ラスト1点といわれて買ったのに、翌週にはまた並んでた!」  なんて思う人ももしかしたらいるかもしれません。それはもしかしたらスタッフさんが嘘をついている可能性もありますが……おそらく多くは「店間移動」。  在庫が少なくなった、完売したので他店から回してもらって復活したケースです。販売する際には「ラスト1点」だったけど、その後、移動で在庫が復活するのはよくあることです。  また多くのアパレル業態では「ラスト1点」が起こりやすい。洋服は通常、追加生産がしにくいのです。  シーズン途中で完売したとして、追加で作ろうと思っても……洋服を作るのには生地が必要です。縫い合わせる工場のキャパも必要です。ボタンなどのパーツ類も必要です。生地屋さんはトレンドが目まぐるしいファッションの世界で、わざわざ不良在庫になるほどの余剰生地を持ってるわけもありません。

産業構造を考えると致し方ない

 また、工場はどこもそうですが「稼働率」を強く意識します。急な仕事に対応できるように稼働率をわざわざ下げておいて「いつでも対応できるように!」なんて体制をとってる工場などありません。  基本的には「毎日、目いっぱいラインを稼働できるように」仕事を受注し、それに伴った人員を配置しておくのが工場の基本です。  加えて普通のアパレルブランドのリードタイムは3か月から半年。冬物をシーズン途中で追加生産をしても実際に届くのは春です。  だからこそ追加生産などほとんどの場合ができない。つまり洋服は「売り切り型」「ラスト1点です」が起こりやすい産業構造です。
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「これ私も買って着てるんですよ」
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