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「もうラスト1点なんです」は意外と嘘じゃない。アパレル店員の本音と建前

★「一生ものですからね」

ショップ店員「一生もの」はスタッフのみならず、ファッション誌やブランドなど業界で蔓延しているセールストークですが、これは大半が嘘です。  そもそもファッションアイテムにはトレンドがあります。’80年代の写真を見て今も格好良いと思いますか? ’90年代のギャル男は当時、モテていたでしょうが今だとどうですか? 「かっこいい」「おしゃれ」という価値観は時代とともに変遷します。  もし一生かっこよく、おしゃれでいられる魔法のアイテムがあるとしたら、アパレルはそれだけをひたすら販売するでしょう? インフルエンサーは「これだけ買っておけばもう大丈夫」と宣伝するでしょう? でも、現実はそうじゃありませんね。  そもそもなぜスタイリストなんて職業があるのか、考えてみればわかるはずです。「かっこいい」という感覚は永遠ではなく、時代の中で変化していくのです。  だからこそ「一生輝きを失わない」ものなど存在しないのです。我々の命が限りあるのと同じように、この世の理に「永遠」や「絶対」がないのと同様に、「一生かっこいい」なんてアイテムは存在しません。

3年を超えて愛用される服はほぼない

 もちろん耐久性の話で「一生使える」ものは一部あります。それを巧みに言葉を変えて「一生輝きを失わない」と混同させるように説明するのがショップスタッフやファッション誌のよくないところではないでしょうか。  3年で大半の洋服が「タンスの肥やし」になるという統計もあるそうです。考えてみれば、確かに高いお金を払って買ったものでも「3年以上主役級の使われた方をするファッションアイテム」って思い当たらないですよね?  ごく一部あるけれど、ほとんどは耐久性的な寿命を迎える前に「飽きる」という感覚や価値観の限界を迎えてお役御免になっています。その意味で「一生もの」は存在しないので注意です。  ただし、もちろん着こなしを工夫することで飽きたものや時代遅れの服でも生き返らせることはできます。ただ、それはまったく別の話。  アイテム単体で「永久に価値が落ちない」というものはありません。「一生ものですから」という甘いささやきに騙されないように。結局、3年程度で飽きるのですから……。
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「もうこれラスト1点なんですよ」
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