更新日:2022年01月30日 16:37
ライフ

東大生が感動した「読むだけで、“旅”を体験できる名著」ベスト3

○『深夜特急』

沢木耕太郎 著(新潮社)
『深夜特急』

『深夜特急』

 いまでこそ遠い存在となってしまいましたが、旅行はやはりいいものです。大学生になるまで、まともに旅をしたことのなかった僕ですが、大学入学後、新幹線デビューしてからは日本のあちらこちらに飛び回るのが夢となりました。  僕は、2泊3日程度のちょっとした用事でもスーツケースをパンパンにしてしまうほどの旅行初心者なので、旅慣れている人には本当にあこがれてしまいます。特に「なんてすごいのだ!」といつも思わされるのが、ヒッチハイクや弾丸旅行ができる人です。 『深夜特急』は作家の沢木耕太郎氏による紀行小説。主人公の「私」は、「インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバスで行く」という無謀極まりない計画を立て、仕事をすべて投げ出し、旅に出ます。  もともと無計画から始まった旅、そうはうまくいきません。まず、この小説の書き出しからして「私」が「次はデリーから南下してゴアに行くべきか、それとも北上してカシミールに行くべきか」と迷うシーンから始まります。日本を出てから半年、スタート地点のデリーから一向に動きません。

訪れたことがなくても鮮明に浮かぶ光景

 この本の魅力は筆者の実体験に基づく、各国の描写です。僕はこの本に出会った小学生当時、外国どころか隣町の様子すら知りませんでした。  しかし、父親の本棚にあるこの本を手に取ったとき、作中で描写されているインドの安宿の退廃的で、官能的で、人を縛り付けるような暗く重たい空気をたしかに感じ、強い衝撃を受けたことを覚えています。  そのような宿に泊まったことはありませんし、見たことすらありませんが、あの日の僕の脳裏に浮かんだ「バックパッカーたちが沈んでいく宿」の光景は、いまだに思い出すことがあります。 「旅をしている気分になりたい!」というのであれば、僕の知る限りでは最高の一冊です。
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旅に出なくても新しい世界を見せてくれる
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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