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M-1準決勝でよしもと所属に。若手男女コンビ・シンクロニシティの現在地「収入はガクッと下がってない」

 今年も予選が開催中のM-1グランプリで2018年から2020まで3年連続で準々決勝に進出、フリーランスながら注目を集めていた若手男女コンビのシンクロニシティ。年々増加するエントリーのなかには仕事とお笑いの二足の草鞋を履くものも多数いる。
シンクロニシティ

シンクロニシティの西野諒太郎さん(右)、よしおかさん

 そのなかで、今年4月に吉本興業に所属したシンクロニシティは、それまで社会人として働きつつ、昨年のM-1準決勝まで進んだ実力者だ。“社会人お笑いの先駆者”と呼ばれるシンクロニシティの西野諒太郎さん(@poolpoolpooro)とよしおかさん(@hikachicken)に、これまでの歩みとプロになった心境を聞いた。 【前回記事を読む】⇒「お笑いは転職活動」元社会人芸人コンビ・シンクロニシティが語るフリー時代の苦労

よしもと芸人の「抽選の仕方」に驚き

――プロを目指して社会人の仕事とお笑いを両立していたというおふたりですが、フリー時代にプロの芸人との差を感じた瞬間はありましたか。 よしおか:昨年のM-1で敗者復活戦に出たんですが、出順が抽選で決まるんです。周りの事務所に所属している芸人さんはとにかく抽選を引く際のボケがすごくて、やっぱり場数が圧倒的に違うなと痛感しました。 西野諒太郎(以下、西野):そこなんですか(笑)。抽選ボケの他にもいっぱいあると思いますけど(笑)。 よしおか:舞台の裏でもみなさんずっとボケてるんですよ。密着カメラにもボケててすごいなと思いました。

兼業でお笑いを続けるのをやめたきっかけ

シンクロニシティ

シンクロニシティの西野諒太郎さん

西野:あとは、同じネタでもお客さんに合わせられることですね。M-1の予選は勝ち進むと会場も大きくなって、お客さんの数も増えます。例えば大体3回戦は200人、準決勝は700人くらいのお客さんがいますが、笑いが起こってから収まるまでの時間は全員違いますし、当然お客さんの人数が増えれば増えるほどそのタイミングは異なってきます。  プロの方は、同じネタをかけてもお客さんの反応を見て、笑いが収まるのを待ち、間(ま)を変えて次のセリフをしゃべります。間を取るために、それまでなかったセリフを自然にアドリブで入れたりするんです。お笑い用語でいう「笑い待ち」ですが、これは日常的に舞台に立ってないとできないなと痛感しました。我々は、そういうことが1ミリもできなかったんです(笑)。 よしおか:決まった台本をいつも通りに読むだけでしたから。 西野:我々は屋外でネタをしたこともなかったですし、マイクの通り方も全然わからない。プロとの場数の違いは、そのような敗者復活戦や準決勝で肌で感じました。そういう明確な差を感じたので、社会人で決勝に行くのは絶対に無理だと僕は思いましたね。2006年に「変ホ長調」さんがアマチュアで初めてM-1の決勝に行きましたが、相当ハードルは高いです。運も加わってギリギリ行けるのは準決勝なんだと思います。それも、社会人のままお笑いを続けるのはやめようと思ったひとつのきっかけです。
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自分たちでマネジメントすることに限界も
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清談社 ライター/編集 編集担当作→稲田豊史さん『こわされた夫婦』、生駒明さん『フーゾクの現代史』、諸富祥彦さん、島田友和さん、青木美帆さん『1on1コミュニケーション入門』、しみけんさん『モテる男39の法則』。X(旧Twitter):@numazawa_n

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