焼津市×多摩美術大学のプロジェクト「焼津 Designing Table」とは?
静岡県焼津市。マグロ、カツオ、サバなどなじみ深い魚の日本有数の水揚げを誇る地方都市だ。その焼津がいま「焼津 Designing Table」という「産官学連携」の新しい形に挑戦している。
◆産官学連携。焼津市の新たなる挑戦
通常「産官学連携」は、大学などの研究機関が開発した技術を企業が商品やサービスに活用し、その体制を国や自治体がバックアップするという座組みが多い。1990年代以降、企業は先の見えない研究開発よりも、自社の強みに特化した事業展開や事業連携に注力するようになった。大学等研究機関は、さまざまなPR手法を駆使しながら学生を確保し、その上で企業や自治体との連携を通じて研究体制の充実を図ろうとした。そして自治体は企業の誘致に加えて、特産品のブランディングなどによる自治体の認知向上をはかり、地元を活性化しようとした。
だが「焼津 Designing Table」は一般的な「産官学連携」とは趣を異にする。そもそも「産」業の開発や産業構造の変革が目的ではない。「官」の焼津市は人口14万人の中都市でPRによる地域活性化の効果がどの程度期待できるか測りきれないところもある。さらに「学」も研究機関というより、アートやデザイン領域が専門の多摩美術大学の学生を中心としたプロジェクト。しかも特定のサービスや商品ではなく、「焼津の活性化」自体が目的となっているという、ある種壮大な目論見だ。焼津市はこのプロジェクトに何を期待しているのか。
「東京から90分。産業の柱は水産業。人口14万人の中都市。こうした市のスペックや東京との距離感、そして地元にあるリソースが東京の若い美大生の目にどんなふうに映り、何を発信してくれるのか。焼津市の人口はこの数十年間、増え続けてきたが、ここ数年間は、全国の自治体と同様少しずつ減ってきています。また、高齢化も進むことから、基幹産業のひとつである漁業にしても後継者問題やブランド力強化などさまざまな課題を抱えています。そんななか、若者や県外の方の視点で焼津の魅力を掘り起こし、発信してもらう。われわれ焼津市民自身が地元の魅力や課題をもう一度捉え直す機会としても期待しています。成果次第では来年度以降も継続したい」(焼津市・中野弘道市長)
このプロジェクトに参加する顔ぶれ自体、一地方都市の活性化について、地元の中小企業だけでなく中央の大企業にも施策ごとに参加を呼びかけた。「学」も多摩美術大学という専門性の高い大学のチームが参画している。なぜこうした連携が可能となったか。キーマンは、プロジェクト全体を統括する多摩美術大学講師の北川佳孝氏だった。
※『焼津市の街おこしに多摩美術大学が参賀した理由』に続く⇒http://hbol.jp/9064
<取材・文/松浦達也>
記事提供:HARBOR BUSINESS Online(ハーバー・ビジネス・オンライン)
最前線ビジネスパーソンの『知りたい』に応えるビジネスメディア。山本一郎、石原壮一郎、田端信太郎×本田哲也などの連載も掲載!
http://hbol.jp/
http://hbol.jp/
【関連キーワードから記事を探す】
「なぜアダルトグッズは変なカタチなのか」デザイナー×妄想発明家が変態トーク
今どき、ものづくり工場で急成長。氷河期世代の社長がアートを事業にできたわけ
<マンガ>“悪夢と陰茎”「小野寺ずるのド腐れ漫画帝国 in SPA!」~第六十四夜~
<マンガ>“ヌードモデルとおばさま”「小野寺ずるのド腐れ漫画帝国 in SPA!」~第六十三夜~
5200万円分の絵を売った男が語るNFTアート。1か月前までは無名だった
学生服は高すぎる? 1万円スーツはあっても、制服は絶対に安くならない「特殊な事情」
どっちがセンスいい?プロだけが知っている「ポスター広告」の“正しい見方”
スタバやドミノピザのロゴが、実は変わっていた理由
ヒゲの長さや角度のデザインでハゲでもイケメンになれる!?
デザイン集団グルーヴィジョンズ代表・伊藤弘氏がこだわった「道具本」の秘密
「文春砲をネットでリライトして200万儲けた」スクープおこぼれ商法の手口
松本人志報道で、文春はいくら儲かった?スキャンダル報道は苦労に見合うか
サイゼリヤはなぜ値上げせずに儲かる?原価率の謎を、吉野家の牛丼からコンビニコーヒーまで解き明かす
コンカフェ嬢の時給はコンビニ店員よりも安い!?それでも若い女性が集まってくる理由
郊外の一軒家がいつの間にか”農場”に…。ハマる若者が後を絶たない違法大麻「栽培ビジネス」の裏側
和風のメロンパン?群馬県民しか知らない謎フード「バンズパン」の“正体”とは
高学歴芸人・カズレーザーが考える「“おもしろい人”に共通している特徴」
北海道民はペヤングとUFOを知らない? 地元民が愛ある自虐ネタを披露
秋田美人は地元民にとってはレア? 愛のある秋田県あるある
千葉のJUAGARさんが語る、デーモン閣下、みうらじゅんとの思い出
話題の炎上市議・宮代翔太氏が明かす地方議員の副業事情。真面目に政治活動に取り組む人ほど副業はできないが…
週末の違法副業で月に50万円!?地方で増殖する白タクの実態
月収20万円の熟女ソープ嬢が土浦に出稼ぎ風俗。「私は地方に救われた」
週末運送ドライバーで月10万稼ぐ人も!副業OKや普通免許の求人も増えている
旅行をかねて旅館や畑で短期バイト。求人サイトもあって「10日働いて7万円稼ぎました」
この記者は、他にもこんな記事を書いています