篠原ともえ、“シノラーブーム”を振り返る
16歳で“シノラーブーム”を巻き起こした時代の寵児も芸能生活19年。“イメチェン”と評されるほど、当時とは異なる落ち着いた大人の装いで芸能以外の分野でも精力的に活動する篠原ともえ氏に今だから話せる本音を聞いた。
――“シノラーブーム”当時のご自身はどういう心境だったんですか?
篠原:シノラーとしては、本当に芸能という世界に飛び込むのが夢だったんです。スタジオに入る一歩ごと、カメラのシャッターが切られる一瞬ごとに、夢が叶っていく感覚というか。その喜びを抑えきれなかった結果があの姿なんですよ。
――あっ、今でも一人称はシノラーなんですね。当時の「ぐふふ~」みたいな発言は、すべて喜びが一瞬一瞬爆発してる姿だったんですか?
篠原:そうです! 喜びを放つ10代のコがテレビとかに出ると、誰しもああいうふうになっちゃうんじゃないかって私は思ってます(笑)。
――キャラももちろん強烈でしたが、シノラーファッションはアムラーと人気を二分するムーブメント(※)を巻き起こしました。
※シノラーはお団子頭にパッツン前髪、ハーフパンツ+サスペンダー+ごつめ靴という基本形に加え、手作りのアクセサリーをデコラティブに装着。原色を多用するのもポイント。一方、安室奈美恵を模倣したアムラーはミニスカート・厚底ブーツ・ロングヘアに茶髪・剃り落とした後に描いたような極端な細眉が特徴
篠原:あれはシノハラのことを見てほしかったから生まれたファッションなんです。腕まわりがさみしいな、もっと注目してもらうには腕輪つけたほうがいいかな、っていう発想で。顔にキラキラシールを貼ってたのも、シノハラの顔を見てほしかったから。せっかくテレビに出るんだからもっと派手にしよう、って思ったんですよ。でも、当時はそんなにカラフルなアクセサリーは売ってなかったので、100円ショップで買った縄跳びをつなげて自分で作りました。
――あっ、今度は一人称がシノハラですねー。あとシノハラさんといえば「ミラクル・パッチン!」(笑)(※)。
※「ミラクル・パッチン!」
縁日の露店で売っている腕パッチンを篠原が勝手に命名
篠原:そうそう(笑)。だんだんと、ファンの方が手作りした腕輪をファンレターに入れて送ってくださるようになって、それをつけてたらさらにシノラーが進化していって。みんなといっしょにシノラーを応援して育てている感じがありました。
――あくまで自発的だったんですね。多少は無理していたんじゃないかと勝手に思っていたんですけど……。
篠原:シノラー時代は、むしろ明るいシノハラ以外はお見せしたくなかったんです。ハーフパンツ以外は着たくないし、お団子以外の髪形もしたくない。腕輪も、してないと元気がないって思われちゃうんじゃないかって……「みんな明るいシノハラのことしか好きじゃないんじゃないかな?」って思いこんでたんです。
――今日の服装もシックに決めていらっしゃいますが、最初のシノラーファッションのイメージが強烈だったぶん、「キャラ替えしたの?」って言われることもあるのでは。
篠原:自分自身の中では「イメチェンしていこう!」っていう瞬間はなかったんですよ。今は、年齢に合うファッションを楽しんでる時期。新しいシノラーを楽しんでるというか、自分の中ではシノラーを進化させていきたいなと思っているんです。シノラーを、こう……私のスピリットが入ってる孫を愛でるような感覚で見つめているというか。
――子供じゃないんですか?(笑)
篠原:子供まで近くないんです(笑)。でも、シノラーを育ててくれた物語に恩返しするような気持ちで働いている感覚があるし、自分の中でもにぎやかな部分はおばあちゃんになるまでずっと持ち続けていたいです。
――加齢とともにキャラ問題に悩んでいるタレントさん、けっこう多いと思うのですが、篠原さんの場合は一貫していらっしゃいますね。
篠原:シノハラが実際に暗かったら、シノラーにはなれなかったと思うんですよ。どんな調教を受けたとしても。
――調教!(笑)
篠原:いやいや、シノハラは天然育ちですよ! 本当に自然に、ファッションも自分でスタイリングして心から楽しんでいたからこそ、生まれたものだと思うんですね。シノラーを孫のように愛でられるのは、「愛せる自分」でいたから。今の私がもしも40代、50代になっても、きっと自分のこと大好きだと思うんです。「頑張ったね」って言えると思うので。
※このインタビューは週刊SPA!12月16日号のインタビュー連載「エッジな人々」から一部抜粋したものです
【篠原ともえ】
’79年、東京都生まれ。16歳のときに「篠原ともえ+石野卓球」名義のシングル「チャイム」で歌手デビュー。個性的な「シノラー」ファッションが話題を呼び、’90年代の一大ムーブメントに。現在は衣装デザイナー、女優、ナレーター等、幅広い活動を展開中
取材・文/倉本さおり 撮影/大森忠明 スタイリング/大園蓮珠 メイク/末光陽子

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