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健全化しつつある歌舞伎町で、一部店舗が凶悪化していく理由

夜の街であった歌舞伎町が観光地という「昼の顔」を持つようになり、新たな注目を浴びている。一方、その余波は思わぬところに闇を生み出していた!? ◆客層が昼夜逆転、風俗、飲み屋に大打撃  歌舞伎町が観光地として変化を遂げた始まりは、’08年12月のコマ劇場閉館にある。’56年のオープン後、歌舞伎町のシンボルとして知られたコマ劇場だが近年は入場客数が減少し、隣接する東宝映画館とともに閉館。その約2年半後の’11年7月に再開発計画が発表されてからは再度注目を浴び、円安の勢いとも相まって昨年から外国人の来訪数が回復しはじめた。 歌舞伎町 また、歌舞伎町の住人たちは震災もきっかけになったと口を揃える。震災で多くの外国人が街を離れ、国内に「絆」を強調したナショナリズムの高揚が起きた時期、街には寿司屋や水産系居酒屋、丼物、ラーメンなど「和」テイストを意識した店が急増。奇しくもそれが外国人の関心を再起させ、以降客足が増えたと話す。  そこに五輪招致を見越した東京都の「浄化作戦」により、ヤクザはもちろんキャッチ、スカウト、裏スロット、違法風俗、時間外営業のホストクラブ、危険ドラッグなどが摘発されゆくなかで4月、映画館の「TOHOシネマズ」を擁する東宝ビルが落成。 「TOHOシネマズ新宿ができて、昼間の人の流れが結構増えました」(飲食業・40代)  家族連れが訪れるようになったことで、「風俗店をなくせ」、「TOHOシネマズから出てくると視界に風俗無料案内所が入るのがよくない」などの声も増えた。おかげで健全になったようには見えるが、歌舞伎町関係者に言わせると、これが「地獄の始まり」だという。 ◆観光客はカネを使わず昼も夜も稼げない!? 「飲食店に限らず、人の流れが昼間に集中するなら、そっちの時間帯で営業したほうが効率がいいと判断して、歌舞伎町全体が夜中は閉めちゃうようになりました」(飲食業・40代)  しかし、これはレストランや食堂などの場合であり、歌舞伎町で営業する店舗の大半はバーやラウンジ、居酒屋など、そう簡単に昼営業に対応できる造りになっていない。おまけに昼の流れの大半が家族連れや団体観光客なので、多人数を一気に収容できるキャパシティの店もそれほど多くない。  また観光ガイドが昼間に連れてくる客が「歌舞伎町にカネを落としていない」のだという。 「カネを落とすのはせいぜい昼間は、1000円の定食屋とかラーメン屋ぐらい。彼らの歌舞伎町観光のメインは職安通りにある免税店に行くことですから。夜に来たら観光ガイドは必然的に風俗案内をすることになり、仕事がなくなっちゃいますから」(事情通)  夜に稼げなくなった店は閉店するか、悪質化するかの二択を迫られる。ここ数年の凶悪なぼったくり店急増はそこに端を発するとみる声も少なくない。 「歌舞伎町のカネは循環してるんです。キャバクラや風俗に流れたカネが飲食店に流れる。その周辺に花屋や衣装屋、煙草、氷、酒屋……いろんな商売がぶら下がっている。その脈を断ち切ったらどうなるかは明らかです」(関係者)  その余波は、周り周りってもちろん一般客にも及んでいくのだ。 ― 観光地化で[歌舞伎町]が地獄になる! ―
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