18歳で日本を背負って立ち、戦争に勝った“英雄”とは?

 昨年6月、公職選挙法などの一部を改正する法律が成立し、2016年6月19日から施行されることに。今年の夏の参議院選挙から投票できる年齢が、従来の20歳から18歳に引き下げられるのだが、これを受けて「若い子には荷が重い」といった外野の声だけでなく、当の18歳にも「そんな責任は負いたくない」という人もいるようだ。

 しかし、ある英雄の話を聞けば、「18歳で投票するのは責任が重い」なんて言えなくなるはず――。そう語るのは『基礎教養 日本史の英雄』の著者であるおかべたかし氏。その英雄とは、元寇を防いだことで知られる北条時宗だ。

「13世紀にチンギス・ハンがつくったモンゴル帝国は、その孫のフビライ・ハンの時代になっても拡大を続けます。元というのは、広大なモンゴル帝国におけるチャイナ部分を指す名称ですが、その支配地域は、東ヨーロッパからアジアの東端にまで及ぶ世界史上最大級の帝国でした。そんな巨大帝国ですから、日本にも使者を送れば、すぐに降伏するに違いない――。そう考えたモンゴルからの使者は『家来になれ、武力を使わず済ませたいのでよい返事をしろ』といった内容を伝えてきました。しかし、北条時宗はこの使者のことばに従いません。このとき執権であった北条政村(時宗の大叔父)は、時宗がモンゴルに従わないという決断をしたので、これは若い時宗こそが執権になり戦うべきだと、その地位を譲ります。このときの北条時宗はなんと18歳。これはまさに18歳にして総理大臣になったようなものです」

基礎教養 日本史の英雄 北条時宗がこのモンゴルの攻めを防いだのは、教科書で習ういわゆる「元寇」。二度の元寇である1274年の「文永の役」と、1281年の「弘安の役」は、台風のおかげで勝ったと習った人も多いはず。海を越えてやってきたモンゴルの大軍は、期せず起こった大嵐によって沈んでしまった。そしてこの嵐を「神風」と呼ぶ、と。しかし、この神風神話は、誤りだと指摘する。

「18歳でモンゴルと戦うことを決意した時宗が、文永の役で勝つのは23歳のときですが、この間、彼は軍事政権をつくり、戦う準備を着々とこなしていたのです。モンゴルは、武力に任せるだけでなく、敵の内乱に乗じた侵略を得意としていました。しかし、日本は北条時宗によって挙国一致体制を築いており、その隙を与えませんでした。日本の大きな勝因は、まずここにあるのです」

 また、最後は台風による被害でモンゴル軍は大打撃を受けるものの、決して上陸させない作戦を展開し、台風を待ったのも北条時宗の戦略だったのだとか。

「つまり、モンゴルに勝ったのは北条時宗の完璧な戦略によるものです。ちなみに北条時宗は、二度目の元寇である「弘安の役」を防いだ3年後の34歳でこの世を去りました。『使命』とは『命を使う』と書きますが、まさに元寇を防ぐという使命をまっとうした英雄といえるでしょう」

 当時、世界最大の帝国に対して「来るなら来いっ!」と言い放ち、我が国を背負って立った18歳がいた――。このことを知れば、たしかに選挙の投票ぐらいで身構えている場合ではない。そんな気がしてくるのではないだろうか。 〈取材・文/日刊SPA!取材班〉

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