元ヤクザは足を洗った後、どんな生活をしているのか?
―[元アウトローたちの新生活]―
暴力団排除条例や警察による準暴力団指定などにより、アウトローたちにとっては年を追うごとに肩身の狭い世の中になってきている。そんな世の中に嫌気が差したアウトローたちが足を洗って更生したら、どんな人生を歩むのだろうか……。
今回、SPA!取材班は全国の元アウトローたちが足を洗った後、何の仕事に就いているのかを徹底取材した。そこにはアウトロー時代の経験を生かして成功した者、キッパリと違う道を歩んで苦労する者など多様な人生があった。
◆カタギの世界で生き抜く元ヤクザたち
ヤクザたちを取り巻く環境は、カタギの衆が想像する以上に厳しい。警察庁の最新資料によれば、’81年末には6万人を超えていたヤクザ構成員数は急減しており、このペースでいけば今年の年末には2万人を切りそうな情勢である。
’13年に足を洗ったHさん(28歳)によれば、決め手は、’09年から’11年にかけて全国で施行された暴力団排除条例だ。
「暴排条例のせいで、付き合いのあったカタギの社長連中が、サーッと消えていきました。もう食っていけない、ここらがヤクザの潮時だろうと思いました」
覚醒剤などの非合法稼業に手を出さず、パチンコ屋でのゴト師狩りを主なシノギにする硬派なヤクザだったのが裏目に出た形だ。
「現在は妻の実家の豆腐屋で修業中です。ヤクザ時代の年収は500万円でしたが、今はたまに小遣いをもらえるくらい。朝3時からの仕込みは本当にキツイ。でも、いずれは自分がここを継ぐと思うと、ヤル気が出ますよね」
一方、現在は農家として生計を立てているYさん(30歳)は、入門時からの脱退希望者だ。
「今どき、自分からヤクザになりたがる若者はいません。私も地元の先輩がヤクザで、事務所に出入りしているうちに強引に盃をおっつけられたクチです。ウチは武闘派の組だったから、繁華街を地回りして、道をあけない人間は誰かれ構わずぶん殴っていましたね」
そんな彼が関東のヤクザ組織から抜けたのは2年前のことだ。
「昔からの友人には毛嫌いされるし、ヤメるチャンスをずっと窺っていたんですが、ある日、殺人未遂と銃刀法違反の容疑で、幹部がごっそり逮捕されたんです」
その混乱に乗じて居を移し、東北地方に住む親類を頼って今に至る。年収は600万円から300万円に半減したが、毎日が充実しているという。
取材・文/SPA!アウトロー取材班
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