「鎌倉市図書館のツイートが素晴らしい」いくつかの理由【鴻上尚史】

週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

◆鎌倉市図書館のツイートが素晴らしい いくつかの理由

 8月25日に、鎌倉市図書館の公式ツイッターがつぶやいた言葉が、一週間ほどで、10万ツイートを越しました。話題になったので、見た人も多いでしょう。僕も、すぐにリツイートしました。

「鎌倉市図書館のツイートが素晴らしい」いくつかの理由【鴻上尚史】「もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね」

 このツイートは、いくつかの点で非常に優れていると感じます。

 一つは、これが税金で運営されている組織の「公式アカウント」の発言だということです。「公式」で、このレベルの柔軟なつぶやきはなかなかできません。

 予想通り、このツイートが話題になった後、「鎌倉市の教育委員会がつぶやきの削除を検討していた」というニュースが流れました。

 取材したJ-CASTニュースによると、削除を検討した理由は、「ツイートの中に、『死ぬほどつらい』『死んじゃおうと思ったら』という言葉があること」だと言います。

「26日のうちに、市教委の各部署から10人ほどが集まってツイートのことを話し合うと、『これらの言葉は、死を連想させる』としてツイートを削除すべきとの意見が数人から出た。つまり、ツイートを読んだ子供たちの自殺を誘発してしまうのではないか、という懸念だ。それは、新聞社などが特集を組むと自殺を誘発しないかと扱いに慎重になるのと同じことだ」という記事でした。

 あらゆる角度からの突っ込みに身構え、少しでも問題の原因になりそうなことをつぶしていこう、という「お役所体質的発想」なら、この判断は間違ってないと思います。

 ただし、そうなると、世の自治体関係の「公式アカウント」のほとんどのように、「ただ、事業告知やイベント内容」だけしかつぶやけなくなり、結果的に、誰も関心を向けなくなるのです。もちろん、それでも、「情報を発信している」という大義名分は立ちますから、何の問題もありません。

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