“パワポレスラー”スーパー・ササダンゴ・マシンが試合前にパワポでプレゼンする理由
プロレスの試合前、会場に流れるVTRのことを「煽りV」という。試合までの経緯や、選手の意気込みなどを見せるのだが、煽りVならぬ「煽りパワポ」でプレゼンをするレスラーがいる。“文化系プロレス”と呼ばれるDDT所属のスーパー・ササダンゴ・マシン選手だ。
ポートフォリオ分析、アンゾフの成長マトリックスなど、一見プロレスとは関係のないビジネス用語が並ぶ。それがササダンゴ選手の手にかかると、「この用語なしには試合を語れないよな!」という説得力を帯びるのだから凄い。大学教授から、「プレゼンの教材にしたい」とメールが来たというのも頷ける。
……にしても、なんでまたパワーポイントをプロレスの試合で使用しようと思ったのだろうか? 奇をてらった、ということか? 真相を探るべく、スーパー・ササダンゴ・マシン選手を直撃した。
――初めて「煽りパワポ」を披露したのは、2014年6月29日、当時のKO-D王者HARASHIMA戦です。パワーポイントを使おうと思ったきっかけとは?
スーパー・ササダンゴ・マシン選手(以下、ササダンゴ):団体のチャンピオンベルトに挑戦するというのは、レスラーにとって一大事業です。DDTは業界の何番手かの売り上げを誇る団体ですから、そこのベルトに挑戦するにあたり、どういう計画で、どういう気持ちで試合をするのかプレゼンテーションするのは、社会人として当然のことだろうなと思いました。
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――ほかのレスラーは、パワポでプレゼンはしないと思うのですが。
ササダンゴ:パワポではしないですが、記者会見のパフォーマンスだったり、インタビューだったり、試合前の煽りVTRだったり、プレゼンはみんなするんですよ。そういうのを僕はパワーポイントを使って一人でやっているだけです。パワポだと映像を準備する必要がない、というのもあります。VTRはディレクターさんの作品ですが、やはりプロレスラーとしては、自分の言葉で見どころをしっかりアピールするのは大事だと思います。そのほうがお客さんに伝わるんじゃないかと。あと、資料を見ながら話せるのもいいですね。覚えなくていいっていう(笑)。パワポなら間違えることはないですから。
――マイクパフォーマンスは、間違えたりするものですか?
ササダンゴ:そりゃあ、間違えますよ。言いたいことが言い切れなかったり、伝え切れなかったり。「何月何日だっけ? 会場はどこで……」というのが、試合の極限状態で思い出せるかっていうのは重要です。資料だったら、事前に準備できるので間違えることはないですから。
――覚えるのが得意そうなレスラーもいますよね。
ササダンゴ:僕は得意じゃないんです(笑)。何を持ってファンの人に伝えやすいか、というのが、自分にとっては煽りパワポだったということです。
――ササダンゴ選手が煽りパワポを披露すると、会場がどっと沸きます。
ササダンゴ:パワポって、会場に来ている同年代のビジネスマンにとっては、日常業務の一貫なんですよ。休みの日にプロレスを観に来て、明日仕事やだなぁとか思ったりすると思うんですけど、そこでレスラーがパワポでプレゼンするのを見たら、「家に帰ったら明日の準備しようかな」と思ってもらえるかもしれない。結果的にその人を元気づけられたらいいなと思います。
――最後に、良いパワーポイントを作成する秘訣とは?
ササダンゴ:字はできる限り大きく、ということでしょうか。あとは5分以上にしない。長いと資料を作るのも大変ですし。具体的なパワポの構成ですか? 企業秘密です(笑)。
残念ながら教えてもらえなかったものの、『DDT公式ファンブックTHIS IS DDT』(双葉社)では、「煽りパワポ反省会」と称し、これまでのパワポが余すところなく掲載されている。プロレスファンの心を鷲づかみにするササダンゴ流パワポの秘訣が掴めるはず! パワポの教科書にするもよし、プロレス入門書とするもよし。
また、興味を持ったら実際に会場に足を運んで煽りパワポからの爆笑と感動のプロレスを観戦するとよいでしょう!
●『DDT公式ファンブック THIS IS DDT』
<取材・文/尾崎ムギ子>
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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