放送事故!? FNS歌謡祭、長渕剛の“新しすぎる”乾杯にテレビの底力を感じた【コラムニスト・村橋ゴロー】
当然ながら、これはネットの格好の餌食となった。ツイッターでも「放送事故www」「今年一番ワロタ」というつぶやきが多勢を占めた。しかし、できるだけ波風が立たないように作られる昨今のテレビおいて、こんなにも胸がざわつくようなシーンがあっただろうか。何か見てはいけないような、しかしどこか惹きつけられる黒光りしたオジサンの持つ説得力。見たこともないものを映してくれるのがテレビなら、それは久々に見たテレビだった。
そして、それ以上に驚いたのが、これら“新しい歌詞”がテロップ付きで放送されていたことである。あまりのトリッキーな歌詞が続くので、一瞬これは長渕のアドリブなんじゃないかと思ってしまったが、テロップがあるということはスタッフも了承済みなのか、と当たり前だが理解した。しかしこれには、「字幕がある時点で予定通りなのわかって冷めた」というネットの声も。
その通り、これが長渕のアドリブによる放送事故感を出したかったら、テロップなしという演出もあったろう。しかし敢えてテロップを付けたということは、フジテレビがこの事件に【加担】したことへの証拠だ。ここに筆者は、フジテレビのある種の決意表明を感じた。「どんどん茶の間をざわつかせてみせまますよ」と。ごくごく一部にすぎない「視聴者の声」など気にせず、どんどんと仕掛けていってくれるんじゃないか? 長渕のこの“新しすぎて視聴者おいてきぼりの乾杯”を聞いた筆者は、思わずそんな期待をフジテレビに抱いてしまった。
【村橋ゴロー】
1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、自宅防衛系ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を手掛ける。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい!」男たち101人の本音』(主婦の友社刊)がある。Twitterは、@muragoro
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