更新日:2017年06月19日 14:30
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貧困ビジネスで搾取されても幸せ…生活保護受給者(50代・男)の自称“ホワイトすぎる生活”

サッカー、釣り、バーベキュー…こんな“搾取される側”が存在するなんて

 梶田さんによれば、その気楽な毎日の典型的なスケジュールは以下だ。 【1日の生活例】 9:00…起床(時間に決まりはない) 9:30…施設内食堂で朝食 10:00…昼まで寝る 12:00…施設内食堂で昼食 13:00…夕方までダラダラ 18:00…施設内食堂で夕食 19:00…施設内共同風呂でシャワー 20:00…10人程度の仲良しグループで近くのスーパーへ。タバコや酒の買い出し 20:30…寮内の個室で酒盛り 21:00…トランプゲームで博打 23:00…酒がつきたら寝る  これだけでも随分と優雅な暮らしをしていると感じることだろう。しかもこれ、土日休日のみのスケジュールではなく、毎日のことなのだ。  さらに、やることが決まっていないからこそ、皆で余暇を楽しもうと試行錯誤をしていると言う。 「とにかくヒマな時間が多いでしょ。オレたちが最近ハマってるのがサッカー。中庭で缶のゴールを作って、ダラダラと2、3時間はやってるよ。負けたチームが勝ちチームに酒を1本オゴリで。あとは、ドロケイなんかもよくやる。カネが残ってるときは1円パチンコなんかも行くかな。毎日皆で『今日はあれやろうぜ』って話し合ってるよ」  他にも釣りに精を出す人、図書館で一日本を読みふける人、公民館でDVDを観漁る人、さらには日雇いバイトに出向く人までいる始末だ。 「バイトは禁止されてないから。日雇いバイト(給与は現金払い)だと、生活保護を受けてても役所にバレないから、ときどき建築現場の資材掃除みたいなのに行ってるよ」  梶田さんが「一大イベント」と語るのが、ボランティアだ。 「2週間に1回、近所のゴミ拾いをしてる。その後にバーベキューをやるのが楽しくてね。施設長とか寮の仲間で酒を持ち寄って、ワイワイとやってるんだ。これが楽しくてここで暮らしてると言っても過言じゃないね」  世間からの視線はどこ吹く風。こんなに楽しそうな“搾取される側”が存在していいのだろうか。

近隣住民からは差し入れも

 周辺住民たちは彼らのことをどう感じているのか。平日昼間からサッカーやバーベキューを行う大人たちを良くは思っていないだろうが…。 「それがそんなことないんだよ。オレたちのことが可哀想だと思ってる人が多くて、野菜を恵んでくれたり、お昼ごはんや夕飯、酒を飲ませてくれることもある。野菜はバーベキューのときの食材として重宝してるよ」  梶田さんは語る。 「近所の家で飯を食えば、施設で出る飯は夜の宴会用に取っておける。これ、けっこう賢いでしょ」  呆れてモノが言えないとは、このことだ。  近隣住民が恵んでくれるのは、なにも食べ物や飲み物だけではないと言う。 「近所で一人暮らししてるおっちゃんなんてさ、毎月2、3冊はエロ本をくれるんだよ。DVDつきの分厚いやつ。でも部屋にはDVDプレーヤーがないから、漫画喫茶まで歩いていくの。他にもエロ本とか、テンガをくれたりもするから、本当に助かってる」  いやはや、皆さんのイメージがどう変化したのか聞くまでもない。最後に梶田さんの将来の夢を聞いていただこう。 「この生活を続けてもたぶんお金は溜まらないだろうから、また別の施設に入れたらいいなと思ってる。ここは処分を受けてるから先は長くないだろうし。そうしたらまた公園で暮らして、声をかけてもらうのを待つだろうね」 <取材・文/建部博>
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