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人間椅子・和嶋慎治「精神的に男が好きと気づいた」――半生を整理して見えてきたこと

改めて気づいた「精神的に男が好き」という感情

――本書には、お笑い芸人のシソンヌじろうさんや、漫画家・イラストレーターのみうらじゅんさんとの対談も収録されています。みうらさんとの会話のなかで、和嶋さんは「僕は男の人が精神的に好きだということに気づいた」と語り、みうらさんも「実はオレも完璧に精神的ゲイだから」と共感していましたね。 和嶋:今回の自伝を執筆するために、青森や東京で、それまで自分が暮らしてきた場所であるとか、よく行っていたお店とかを巡ってみたんです。その様子は、本の巻頭で写真とともに紹介しています。いわゆる思い出の場所を巡りながら、「あの時はこうだった」「そういえば、この場所ではこんなことがあったな」と記憶が蘇ってきたのですが、そこで登場する人物が、けっこうな頻度で男性だったんですよね。対談でも言いましたけど、その時代ごとに好きな男性がいて、しょっちゅう一緒にいたんです。僕としては無自覚だったのですが、僕は相当男性が好きなんじゃないかと、改めて思いまして。男同士の関係にはそういう、単純に「友情」だけでは説明が付かないような、深い繋がりってありませんか? ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1306237 wajima6――どうでしょう。程度問題かと思いますが。 和嶋:それこそ、僕のみうらさんに対する感情もそうですよ。たとえばみうらさんとお酒を飲んでいて、そこにどんな美女がいたとしても、僕はまずみうらさんとお喋りしていたい。なぜなら、それがいちばん楽しいから。仮に、そのときお付き合いしている女性がいたとして、好きな男性から急に誘われたら、彼女との約束よりもそちらを優先してしまうかもしれない……なんたる張りあいのない男だ(笑)! ――今回の本のなかにも、高校生のころにすごく親しくなった同性の友達がいて、あるときを境に急に醒めてしまった、みたいな話が出てきます。 和嶋:十代のころは、とくにそういう感覚が強くありました。同性の友達に対して恋心のような感情を抱いてしまう、というか。そうなると、相手を理想化するわけですよね。それって、普通は異性に対してするものでしょう。相手を理想化、偶像化するから、相手が好きなものを自分も好きになってみたりするわけです。僕の場合、男性に知的さを求めてしまうんでしょうね。それでいろいろと教わるうちに、「何かちょっと、イメージと違うな」なんて部分が出てくると、イメージとの落差で急に気持ちが醒める。 ――まるで恋のように醒める、と。 和嶋:そうそう。もちろん、普通の同性の友達とは、そんな感情には全然なりませんよ。ただ、恋みたいに心酔してしまう男性には、先ほど言ったような感情になることが結構ありましたよ。それで、むしろ距離を置きたくなってしまったり。 ――恋に恋する乙女的な感情というか。 和嶋:未熟な恋愛感情と言ってもいいかもしれない。それで、こういうことを書いてしまうと「和嶋はゲイだ」と軽々に決めつけられてしまうかもしれないと思って本には盛り込まなかったのですが、思春期のころは、クラスに好きな男の子とか普通にいたんですよね。大人になってから、周囲の人にこの話をしてみたら「ちょっとわかる」「自分にもそういうところがあった」と共感してくれる男性が思いのほか多かったから、決して珍しい話じゃないと思うんだけど。
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性別を超越した、精神的な繋がり?
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屈折くん

人間椅子の中心人物、和嶋慎治による初の自伝!! 幼少期からバンド結成、現在までを明かす!!

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