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組織を辞めた“ダメ”ヤクザのその後…カタギになるも「チンピラはチンピラにしかなれない」

ポリス 中野氏は福岡県警の計らいにより、刑務所帰りの人間を多く雇うことで知られる某土木工事会社に就職。反社会勢力とも縁を断ち、新たな生活をスタートさせたように見えた矢先、X氏の元に再び県警関係者から連絡が入った。 「中野が組の名前使って商売しよると、県警から電話があったとですよ。『まさか偽装破門じゃなかやろな』なんて疑われたりして……。貧乏神に取り憑かれたごたる気持ちです」  せっかく就職した工事会社からもバックレていたことも同時に発覚。組織の名前をチラつかせながら、田舎の老人相手に野球賭博をしたり、舎弟である不良中高生にカブトムシやクワガタを捕まえさせて販売したりと、デタラメ放題だった中野氏だが、今年に入ってすぐ、恐喝で再び逮捕された。

一見、暴力団員数が減少したかに思えるが…

 X氏は福岡県警が行う暴力団離脱支援運動について、ズバリ言い切る。 「いくら形だけ暴力団から抜け出しても、人間の本質までは変わらん。中野みたいなチンピラは、組織におってもシャバに出ても、死ぬまでチンピラ。チンピラの面倒はヤクザしか見切れんでしょう? 今の中野は、紐の切れた凧みたいなもんで、放っていたら何するかわからん。県警は暴力団構成員の数を減らしたって言うて威張りよるが、中野みたいなやつが増えたら、余計に社会が悪くなる。こげな政策、誰も得はせんとですよ」  暴力団排除条例の施行により、反社会勢力に対する締め付けが厳しくなったことで「反グレ」と呼ばれる不良集団が増加しているとも言われている。“臭いものにフタ”というお役所仕事の上辺だけを見て、暴力団員数の減少に安堵しているようであれば、新たな恐怖に我々が脅かされる日は近い。 <取材・文/伊原忠夫>
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