世界を旅して怪魚を釣る…盗難、マラリア、集中治療室に運ばれても「面白い」
世界40か国以上を旅しながら、50種類以上の“怪魚”を釣りあげてきた小塚拓矢氏。『怪魚を釣る』(集英社インターナショナル)の著者である。小塚氏は、怪魚を求めてアフリカや中東、南米アマゾンなど、地球上のあらゆる僻地まで足を運んできた。
「怪魚釣り」とは、「怪しい魚」を「釣る」ことではある。だが、そこには膨大な時間と労力、お金、ときにはトラブルに見舞われることだってあるだろう。つまり、常に未知なる“旅”が伴うのだ。今回は、小塚氏に知られざる旅の裏エピソードまで聞いてみた。
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怪魚釣りとは字面で見れば、「怪しい魚」を「釣る」ということだ。しかし前回でも示した通り、怪魚釣りとは、釣り方の“クリエイティビティー”が重要であり、さらに“旅”を含めてこそだと小塚氏は言う。
「ときには危険な目に遭ったり、現地の食べ物によって体調を崩すこともある。それをひっくるめて楽しいんですね」
では、旅という点で印象に残っている魚はなんだろう。
「魚のレアさと難しさ……旅という点でいえば、アフリカのコンゴまで釣りに行ったムベンガですね」
ムベンガはもともと数が非常に少なく、現地での限られた目撃情報が頼りだったという。釣れるポイントを探すまでに1か月以上……。とにかく時間を要した。ムベンガの生息している場所は激流であるため、投じた仕掛けがあっという間に岩に掛かってしまう。しかし、アフリカには釣り具店がなく、道具の買い足しはできないという状況。さらに、アタリは1日に1~2回だけ。
「口には巨大な牙があり、もはや猛獣。噛み合わせた牙でがっしりと糸をくわえこんでしまい、針が掛かるところがないんです」
小塚氏は、ようやくアタリがあってもすぐに「また明日」となってしまうことが精神的にもツラかったという。次から次へと発生する問題に対処しながら、それでも試行錯誤を続けた。そして、日本を発ってから61日目。体重は10kg減り、腹痛と下痢で満身創痍の末に、ようやく納得の一匹を釣ることができたのだった。
因縁のムベンガ、2016年にコンゴ川に再訪した際には、こんなサイドストーリーも。
「その旅で、マラリアに感染しちゃったんです。僻地を旅している人ならよくあることですし、休めばいいだけなんですが……歯が痛くて、鎮痛剤との飲み合わせの関係からマラリアの予防薬を飲まなかったら、やられちゃいました」
怪魚釣りは、大変な“旅”をひっくるめてこそ楽しい
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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『怪魚を釣る』 世界40か国以上で50種超の怪魚を釣り上げてきた著者が、これまでに蓄積したノウハウを惜しみなく披露。怪魚を釣り、食し、研究する楽しみが詰まった一冊。 |
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