エンタメ

ゲイでもレズでもない「男の娘」同士の恋愛を、なんと呼べばいい?【カリスマ男の娘・大島薫】

前例が少ないので誰かを参考にすることもできない

 ボクらは常に何かの不安を抱えている。将来、性転換もせずにこのまま年齢を重ねたら男っぽくなっていくんじゃないのか。仕事を干されたらこの見た目で一般の企業に就職できるのだろうか。老いてもずっと誰かに愛してもらえるのだろうか。女性の見た目で暮らしながら性転換をしない選択肢を選んだ前例が少ないので、誰かを参考にすることもできない。  だから、ボクは彼女に自分の想いを告げるとき、こう言った。 「君がこの先、女のコになろうと、男のコでいようと、ボクは君の心を愛したから、一生好きでい続けます」  男女二元論が支配するこの世の中で、ボクらが何者なのか、名前を付けてくれる人は少ない。「そんな見た目なんだから男が好きなんでしょ?」、「そんな見た目で心は男なの? じゃあ、男じゃん」。ボクがなんども言われてきた言葉だ。  男か女か。どちらかに決めなければいけないことはないのに、いつも世間はどちらかに決めたがる。  ボクは星の数ほどいる人間の中からこの人を選んだ。男でも女でもなく、この人を愛したのだ。  男の見た目で男が好きならゲイ、女の見た目で女が好きならレズビアン、両方好きならバイセクシャル。この恋愛に名前はまだない。 <取材・文/大島薫> 【大島薫】 作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru
1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru
1
2
おすすめ記事