日野皓正ビンタ騒動と映画『セッション』はどこまで似ているのか?【コラム二スト木村和久】
映画と同じようなことは、なかなか起きないんですね。日野氏とドラムの生徒は1年以上の交流があり、師弟関係なんだそうです。もし映画的な展開を目指すなら、何か画期的なドラム演奏をソロパートで演じて、日野氏を唸らせないといけませんよね。
それにしても、天下の日野皓正を相手にマジギレさせるんだから、大物中学生ですよ。日野皓正氏は顔も怖いし、振る舞いも全部怖い。一度、何かのパーティの余興で彼のタップダンスを見たけど、それが上手いのなんの。日野皓正氏の父親というのはタップダンサーもする、トランペッターでした。だから、彼はジャズトランペッターというけど、リズム感も素晴らしいのです。
その日野皓正を唸らせて、30秒ぐらいで演奏を横取りできたら、大事件ですがね。一瞬、中学生は淡い夢を見たのでしょう。
気になるのは、その中学生が映画『セッション』を見たのか、あるいは内容を知っていたかということですが。個人的な想像では、ソロパートを延々演奏するシーンは知っていたと思いますよ。だから、真似してやってみたと。先生のキャラクターも映画そっくりだしね。けど、読みが甘かった。実際の日野皓正氏のキャラクターは、映画の師匠役よりも数倍怖かったってことですね。
教育的な観点でいうと、演奏をストップさせた日野氏が正しいと思います。そもそも世田谷区が中学生にジャズを教え、しかも日野皓正氏を招へいする段階で、実に個性的な教育現場になっていますがね。日野氏の個性を活かした教育とはいえ、ビンタはやり過ぎです。ドラムスティックを取って、退場させるまでですね。
音楽の観点でいうと、手でドラムを叩き続けた中学生の勝ちだと思います。将来は伝説のドラマーになって欲しいです。世界の日野皓正とタイマン張った中学生として後世まで語り継がれるでしょう。
日野氏曰く「マスコミが騒ぐから、中学生がますます傷つく」みたいなことを言ってましたが、そんなタマじゃない気がします。度胸や実行力はピカイチ。あとは、どれぐらい音楽的な才能があるかですね。
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
これはひょっとして天才棋士の藤井聡太や、天才卓球プレイヤーの張本智和選手と並び称されるぐらいの偉大な中学生になるかもです。一発屋にならず、何かで頭角を現すことを期待します。
■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦1
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