更新日:2022年12月26日 01:26
エンタメ

ジャパニーズメタル専門雑誌・ムックの歴史を振り返る シーンを活性化させたのは『ヘドバン』!?

伝説の雑誌『BURRN! JAPAN』も復活!

 次は、日本でもっとも有名な洋楽ヘヴィメタル雑誌『BURRN!』の増刊号『BURRN! JAPAN』。『BURRN! JAPAN』は、今から30年以上前の1987年に創刊された。同誌はジャパメタラーに重宝されたが、1990年に刊行されたNO.6で休刊し、その存在は伝説となっていた。  だが2016年にVol.7が刊行され、復活。現在、Vol.10まで発売されている。保守本流の正統派ジャパニーズメタル・バンドを取り上げる硬派なムックだ。豪球一直線で清々しい。

2016年に復活した伝説のムック『BURRN! JAPAN』(シンコーミュージック・エンタテイメント)の最新号となるVol.10

 我らがX JAPAN(当時はX)は、NO.6まで、すべての号に掲載されている。ウニ頭のYOSHIKIが表紙を飾ったNO.4は、メジャーデビュー特集が組まれており、プレミアが付いている。  ところで、『BURRN!』本誌が推す国産メタル・バンドはあまり売れず、対して、『BURRN!』から叩かれたり、バカにされたり、無視されたりするバンドおよびグループのほうが、国内で売れたり、海外進出するほどビッグになる傾向が見られる。これは非常に面白い現象だ。つーか、なぜなのだろう……?(すっとぼけ)

ガールズ・メタル特集が定期的に刊行されているムック『METALLION』(シンコーミュージック・エンタテイメント)。最新のガールズ・メタル特集号となるvol.60(2017年)

 こちらも、『BURRN!』の増刊となる『METALLION』。1986年にVol.1が発行され、1991年に一時休刊、1999年から不定期刊行している。2012年発売のvol.44を契機に、嬢メタル特集号が複数回出版されている(Vol.47、Vol.51、Vol.55、Vol.58、Vol.60)。そのvol.44にはBABYMETALも掲載されている。嬢メタル特集の号は買っています。

火付け役は2012年の『METALLION』vol.44か?

上記以外の2000年以降にジャパニーズメタルを特集した雑誌(筆者撮影)

 その他には、ジャパメタの著名ギタリストの現在のインタビュー撮り下ろしと過去のインタビューを再録した『ヤング・ギター・アーカイヴ (Vol.4)』(シンコーミュージック・エンタテイメント、2005年)や、『THE DIG presents ジャパニーズ・メタル』(シンコーミュージック・エンタテイメント、2013年)、続編となる『THE DIG presents ジャパニーズ・メタルⅡ featuring LOUDNESS』(2014年)など。さらに、ジャパメタラーが咽び泣く『ロッキンf』(2015年12月号、サウンド・デザイナー)が、2015年暮れに唐突に復活した。  このように見ていくと、近年、紙媒体でジャパニーズメタルが目立ち始めた契機となった最初の特集号は、2012年に刊行された嬢メタルを特集した『METALLION』vol.44ということになる。これを皮切りに、前述の2013年発行『THE DIG presents ジャパニーズ・メタル』と翌2014年発行の同『Ⅱ』、2015年に復活した『ロッキンf』などが後に続き、さらに2016年に『BURRN! JAPAN』が復活したという流れだ。  ただし、これらはコアユーザー向けのメディアに過ぎない。売れているバンドは、音楽雑誌だけに留まらず、一般誌やネットメディア、TVなど、様々なメディアに登場しており、さらにアーティストのファンによって情報が拡散されている。多くの層に訴えかけるには、壁の外に出ていかなければならないのだ。
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日本のメタル活性化の震源地はこのムック!?
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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