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40過ぎのヒラ社員500人に調査「なぜあなたは役職につけなかったか?」

 また、実績以外の客観的指標が少なすぎるので、努力が無駄に思え、無気力なサラリーマンを量産しやすいんです。一方、『自ら断る』(20%)は、これまでにない新しい傾向。共働き世帯が増えたので昇進を諦め、家族の時間を優先した人が増えているのかもしれません」  対して西尾氏は、他人任せの姿勢こそ「ヒラへの道」と一喝する。 「仕事で成功する鍵は、結果に対して“自責”のスタンスを取れるかどうか。そう言っても過言ではありません。上司がイヤ、社内政治がイヤと愚痴を言う前に、勤め先の人事評価制度を確認し、社内での評価と自己評価の溝を埋めることが先決です。また、『転職を繰り返した』(20.4%)は最も高いですが、これが『居場所がない』、『会社に合わない』とか、環境のせいにしたネガティブな転職なら言語道断。身軽なのはヒラ社員の特権ですが、転職先でいきなり役職につくことは稀。よほどの戦力でないと難しい。スキルや実績がないなら、年収ダウンは当たり前です。そこから這い上がっていかないと」  “最強のヒラ社員”のように高い専門性があるなら話は別だが、「同窓会で仕事の話になるたびにトイレに逃げ込んでいます」(46歳・自動車製造)や「元部下が上司になったのに僕に敬語を使うので、いつも敗北感を覚えてしまう」(43歳・保険事務)と、中年ヒラ社員のデメリット(Q4)は多い。 ============= 《Q4 ヒラ社員のデメリットは何ですか?(複数回答可)》 356人 給料が低い 71人  上司が年下 69人  仕事のやりがいがない 46人  劣等感にさいなまれる 44人  雑務が多い 42人  仕事量が多い 41人  リストラが不安 35人  転職に不利 29人  会社の居心地が悪い 17人  若い頃と同じ現場仕事をさせられる 給料の低さを大多数が懸念。「管理職能も高められず転職面でも不利は大きいです」(山本氏) =============  ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は言う。 「『給料が低い』(71.2%)、『上司が年下』(14.2%)、『仕事のやりがいがない』(13.8%)、『劣等感にさいなまれる』(9.2%)などは、モチベーションの低下やストレスに繫がりやすい。また、『リストラが不安』(8.2%)、『会社の居心地が悪い』(5.8%)など、会社にしがみつけなくなる恐れもあります」  西尾氏も「残り10~20年、何のスキルアップもせず、今のままで会社に居座ることが許される確率は、万馬券を的中させるのに等しい。薄氷の上を歩いていることを自覚すべき」と一蹴。他人任せを捨て、市場価値を高める努力をしなくてはならないだろう。  最後に、ヒラ社員のメリットは何かを聞いた結果が(Q5)だ。 ============= 《Q5 ヒラ社員のメリットは何ですか?(複数回答可)》 315人 仕事の責任が軽い 130人 早く帰れる 126人 「出世しなくては」という気持ちにとらわれずに済む 75人  部下がいない 69人  雑務が少ない 65人  若い頃と同じ現場仕事を続けられる 58人  いつでも転職できる 50人  人より仕事量が少ない 50人  会社の居心地がいい 12人  自虐で笑いが取れる 気楽さを挙げる声が多数。「裏を返せば会社ではお荷物扱いで、クビの危険性も」(西尾氏) ============= 【西尾 太氏】 人事コンサルタント。フォー・ノーツ代表。「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。著書に『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)など 【山本 寛氏】 経営学者。青山学院大学経営学部経営学科教授。専門はキャリアデザイン論。近著に『昇進の研究-キャリア・プラトー現象の観点から』(創成社) 【藤川 太氏】 ファイナンシャルプランナー。家計の見直し相談センター東京代表。1万5000件以上の相談実績。著書に『お金の不安に答える本(男子用)』(日本経済新聞出版社)など 【牛窪 恵氏】 世代・トレンド評論家。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍。著書に『「男損」の時代「熟メン」が人生をソンしない18の知恵』(潮出版社)ほか多数 アンケート/エコンテ ― 死ぬまでヒラ社員の衝撃 ―
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