更新日:2019年02月12日 22:08
ライフ

70歳まで働く時代、どう生き抜く? 人生100年時代に「しんどい」が7割

定年間際から“その後”を考えるのは遅すぎる

 そんな現実を前に、今の40~50代はどのような準備が必要なのか。 「定年間際になってからこの先どうしようと考えるのは遅すぎる」と話すのは、「人生100年時代」の生き方・働き方のサポートを行う「ライフシフト・ジャパン」代表の大野誠一氏だ。 「定年まで“会社の人生”を歩んできて『さぁこれからは“自分の人生”を生きよう』とは簡単に切り替えられません。40歳くらいから自分がやりたいことにフォーカスして動き始める必要があるでしょう。社内だけの人付き合いだと新しい発見や出会いのバリエーションは必然的に少なくなります。  だから会社とは別のコミュニティにも属し、多様な働き方をしている人に触れてさまざまな気づきを得るといった経験が大切になります」  大野氏は、50代半ばにさしかかり「もうこれ以上の出世はムリだな」「残りの会社員人生で得られる生涯賃金はこれくらいか」「会社は何歳まで雇用延長してくれるんだろう」と、無気力になってしまう人がとても多いと指摘する。 「『人生100年時代』という言葉の印象について聞くと、『人生が長くなってワクワクする』と感じる人は3割くらいで、7割方は『しんどい』とネガティブな感情を抱いています。  雇用延長は一つの選択肢ですが、今の40~50代の人はそんな先輩たちの働き方や生き方を参考にするだけでなく、自分が新しいロールモデルをつくるというくらいの意気込みを持ってほしい。  今は5年先だって見えない時代。遠い目標を決めて、その目標に向かって進むという生き方ではなく、変化し続ける状況に柔軟に対応する、『変化を楽しむ』というマインドセットが大切です」 [70歳まで働く]超実践ガイド

定年が70歳になる未来はもうすぐそこ?

 では、現在も元気に働けている60代たちは「70歳まで働くために大切なこと」をどう実感しているのか。その回答としてほぼ全員が「働き続ける体力」と答えたように、体が資本なのは言わずもがなだが、それ以外に「スキルや知識を学ぶ姿勢」や「身の丈に合った職選び」との声も多い。  また、大野氏によれば、今後は定年自体がどんどん延長されていくと予想されるという。 「30年後、今40歳の人が70歳になる頃には、少なくとも定年は70歳になっているでしょう。  ただ、個人的には定年という考え方自体がなくなってもいいと思います。これから10年かけて65歳定年が完成して、その先10年かけて75歳定年になっても、またその先10年かけて……と問題はずっと続きます。  だから、『定年が延びれば働き続けられる』と安心するのではなく、『自分の定年は自分で決める』という気概を持ってほしい。40代なら学ぶ力もまだあるので、できるだけ早く動きだしたほうがいい」  そんな我々が現在の働くシルバー世代の姿を見て、将来の自分のために取り入れるべき教訓を考えてほしい。 【野口俊晴】ファイナンシャル・プランナー 雑誌やウェブでの執筆活動、セミナー講師をはじめ、リタイアメントプランを中心としたアドバイスを行うなど広く活動している 【大野誠一】「ライフシフト・ジャパン」代表 「人生100年時代」の働き方から生き方までの提案・サポートを積極的に行う。著書『実践!50歳からのライフシフト術』(NHK出版) ― [70歳まで働く]超実践ガイド ―
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