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新入社員がパニック障害で退職…30代でもブラック企業は辞めるべき?

 突然の激しい動悸に大量の汗、震えやめまいなどに襲われるパニック障害に悩まされる人が近年増えている。しかも、いつ誰にでも起こりうる可能性があり、発症後も会社に残るのは決して簡単なことではない。
パニック障害

写真はイメージです(以下同じ)

 もし新入社員が入社早々パニック障害を発症してしまった場合、先輩社員としては「あいつはメンタルが弱かった」で済ませるか、「この会社にいたら自分も危ない」と思うかーー。

連日の激務でパニック障害に?

「実は、前の職場で同じ部署だったY君という新入社員がパニック障害を発症し、それが原因で辞めてしまったことがあります」  そう話すのは、空港職員の堂島大介さん(仮名・37歳)。以前勤めていた小さな機械部品メーカーに勤めていたころの出来事で、このときのことを今でも悔やんでいるそうだ。 パニック障害 「当時、私がいた営業部はブラック部署の呼び名に相応しい殺人的な忙しさで、配属されたばかりのY君の面倒を見る余裕は誰にもありませんでした。課長は新人には明らかにキャパオーバーの仕事を与え、ほとんどフォローもしていませんでした。  私や部署の同僚も日中は外回りで、夕方会社に残ってから夜遅くまでデスクワークという有様。そのため、夜9~10時まで残業することも珍しくなく、その環境に慣れていた私たちならともかく、Y君にとっては死ぬほど辛かったはず。一応、声をかけてはいましたが、『大丈夫です』と返事するのでこちらも放置してしまったんです」  だが、入社から3か月が過ぎた夏のある日、Y君は入社以来初めて会社を欠勤する。 「翌日、翌々日も休み、欠勤4日目の朝のミーティングでY君が病気療養で1か月間休職することを告げられました。その場では何の病気かは明かされませんでしたが、後日課長からY君がパニック障害を発症したことを伝えられ、『復帰した際は、あいつを助けてやってくれ』と頼まれました。私は彼がそこまで追い詰められていたとは思っていなかったため、何のフォローもしてあげられず申し訳ない気持ちでいっぱいでした」

会社を休業するも復帰できずに退社

 しかし、予定の1か月を過ぎてもY君は会社に来なかった。そして、最初の欠勤から2か月が経ったころ、彼の退職を知らされたという。 「課長から聞いた話ですけど、電車に乗ることもできなかったそうで、『これ以上、会社に迷惑はかけたくないので……』とY君本人から連絡があり、退職届が送られてきたそうです。パニック障害になると電車に乗れなくなったり、人の多い場所に行けなくなるというのは聞いたことがありましたが、それまで周りに発症した人はいなかったので衝撃でした」  その後、部署内では最初からY君が存在しなかったかのように彼の話題が出ることはなく、それまでのように仕事に忙殺される日々が続く。でも、堂島さんはそんな会社に違和感を覚えるようになる。 「ほかの部署でもベテラン社員がうつ病で辞めたこともありましたが、会社は残業を減らそうともせず、社員1人あたりの仕事量は相変わらず多いままでした。小さな会社とはいえ、社員のメンタルヘルスを無視する状況に納得できなくなり、転職を考えるようになりました」
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自身の転職のきっかけにもなった
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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